mikotoの呟き

小説(◆マーク)とお知らせや近況報告

◆キラ白(はたらく細胞)

 

 

冬の12月から3月にかけて流行る感染症、インフルエンザ。

 

体の免疫力を下げ、高熱、悪寒等を引き起こす恐るべき病気だ。咳やのどの痛みなどの呼吸器の症状だけでなく、倦怠感や食欲不振などの全身症状が強く、酷い時は頭痛や関節痛・筋肉痛など呼吸器以外の症状も伴う。
合併症として、気管支炎、肺炎、中耳炎などもある。

 

この体の外はちょうどインフルエンザが流行ってる時期なのか、この体もどこからかウイルスに感染してしまって体内の中の細胞たちはウジャウジャと現れるウイルスを長期戦で排除していた。

幸いな事はウイルスがB型であることだ。

A型だと新種のウイルスが生み出されて排除するのに些か骨が折られるがB型ならば毎年といって良い程に倒している。

殺し方なら嫌という程に知り尽くしている。

 

既に何百ものウイルスを排除しているがインフルエンザが治るのは1週間程。

前線には白血球、マクロファージ、B細胞にキラーT達が休む間もなく動いている。

 

最初のウイルスが現れてから6日は経っていた。休む間もなく闘っているから既に時間や日程の感覚は分からなくなっているけれどヘルパーT指令からのアナウンスが時折あり、どれくらい経っているのか報告してくれるから辛うじて分かっている。

 

6日も経てばウジャウジャと居たウイルスも残る数匹になっており、その残りを排除すれば長かったこの戦いも終わると確信している。

 

そしていつものように最後のウイルスを白血球が排除した途端、長かった戦いの幕は閉じられ、ずっと戦い通しだった免疫細胞たちはワッと歓声を上げた。

 

キラーTも、やっと終わった事に一息を吐いた。今年もまた仕事をやり遂げたのに笑みを浮かべる。まだ息のある部下たちを確認してこれからの処理作業の指示を出してから周りを見渡した。

瓦礫の山と血溜まり、返り血に染まる細胞たち。周りへの損害は多いが細胞はそんなに殺られてなそうで安心する。

 

気を抜くと欠伸が出てしまいそうでキラーTはぐっと口許に力を入れる。

この1週間寝ずに動いていたのだ、脳や体は睡眠と休息を今直ぐにも必要としていて立ったまま眠る事が出来そうだ。

途中から想い人である白血球U-1146番を気にする事も出来なくなっていた。それでもお互いの強さを知っているから簡単に殺られたとは思っておらず無事だと信じて疑っていない。

 

目の端に細胞たちが互いを労っているのを捉えながらキラーTは視線を動かすとウイルスがやけに束となって倒れている所に、想い人の好中球が居た。

丁度タガーナイフを収めてる所らしく掌でクルクルッと一回転させてからスッとホルスターに仕舞っている。

 

やはり無事だった。

 

信じていてもやはりどこか大きな怪我がないか心配はする訳でその後ろ姿から致命傷に至るものはないと確認して内心ホッとする。

しかし心なしかその体が微かにグラグラと傾いてるのに気付き、訝しげにキラーTが目を細める。

 

その様子に可笑しいとキラーTが白血球に近付きその背中に声を掛けようとした瞬間、赤に染まった白い体がぐらりと傾いて倒れそうになる。

 

「…危ねぇな」

 

瓦礫の山に倒れる前に腕を伸ばして体を支えてやる。意識がもうないのか体からは完全に力が抜けきっておりずしりと腕に重さが掛かったがキラーTにとってはどうって事のない重さだ。

白血球の顔を覗いてみるとすぴー…と寝息をたてて眠っていた。

 

マジかコイツ…。

 

戦場だった周りは既に後片付けだけだから気を抜くのも分かるがここで事切れるのかよ、ホノボノしてんなぁ、コイツ。と呆れたようにキラーTは溜め息を吐いたがその顔は端から見れば甘かった。

思えば最初の抗原が出現してから最後までコイツはずっと立っていたのだ。疲れが一気に出たのだろう。

 

「1146番!!」

「ちょっ、大丈夫か?!」

「生きてる!?」

 

いつも傍にいる幼馴染み3人の白血球が駆け寄ってくる。致命傷を受けて倒れたと思っているのか酷く慌てた様子にキラーTは片手を上げて制した。

1146番を支えていた腕をずらし、尻から太股に掛けて掬い上げるように1146番を抱き上げる。

まるで幼児を抱き上げるような格好に一瞬幼馴染み3人はポカーンと目を見開いた。

 

「疲れて眠っちまってるだけだ。俺が回収するからお前らも休んどけ」

 

ほれ好中球、しっかり掴まれ。と眠っている相手に聴こえる訳ないのにキラーTが腕を僅かに揺すると眠っている筈の白血球はんぅ…キラぁ…と小さく唸りながらも両腕をもぞもぞと逞しいキラーTの首元に回して掴まり頬を肩口にペタッと乗せて完全に熟睡している。

 

幼馴染み3人は寝てるだけかい~。と声に出さずにツッ込んだが安堵した表情になっていた。

キラーTと1146番が付き合っている事を承知している3人は、じゃあ1146番の事をよろしく~とアッサリ手を振る。

頷いてキラーTは片腕で1146番を抱き上げたまま、その場を離れる。

 

1週間も休む間もなく寝ずに戦い通しだったのだ、今から少し休むくらい許されるだろうよ。

眠気で目が霞むのを数回瞬きする事で誤魔化しキラーTはリンパ官の自分の部屋へと戻っていった。

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1146番をベットへ下ろす前に血塗れになっている互いの黒と白の制服を脱ぐ。

下着までは汚れてなかったから下着だけを残した姿で1146番をベットに下ろしてから洗面所に行き濡れたタオルで髪にこびりついた血を拭う。ついでに下だけを穿き替えた。

 

赤に染まった金髪がタオルで擦る事で綺麗になり、数分すればいつもの色に戻る。

一通り拭いてから新しい濡れタオルを持って白血球の所まで行くと同じように血がこびりついた白い髪を綺麗にしてやる。

眠いのは眠いのだがキラーTは赤の中から美しい白が現れるのが楽しくて夢中で手を動かし綺麗にする。

 

満足するまで綺麗にしてやってからタオルを適当な所に置いた。今度は欠伸を噛み殺さず思うまま大きく欠伸をした。

 

欠伸で生理的に出た涙を無造作に拭い、自分の黒の部屋着を着せた白血球の隣に滑り込み安心しきった顔で眠っているのを眺めてくしゃりと頭を撫でてからその体を抱き寄せキスを1つ落とすと目を閉じた。

 

腕の中に1146番が居る。

それだけでキラーTは溜まりに溜まった疲れが取れるような気がした。

 

 

 

 

 

「ん……」

 

充分な睡眠を取れたおかげか、白血球はキラーTよりも先に目を覚ました。

今は何時頃だろうか…?目を擦り目を開くと目の前には端整な男の顔が思いの外近くにあった。身動き出来ないのは逞しい腕が腰に回っていたからか。

 

見事な金髪に目をパチクリとさせて白血球は何故目の前にキラーTが?というか何故自分はキラーTと一緒に眠ってるんだ?と頭の中には疑問ばかりが生まれる。

 

周りを見渡すとどうやらここはキラーTの部屋で真っ黒な部屋は見覚えあるものばかりだ。いつの間にここまで運んでくれたのか覚えはないが抗原を殺し終わった後の記憶がないことからキラーTが回収してくれたのだろう。

 

起き上がらせてた頭をぽふりと枕に戻すと未だ規則正しく寝息をたてるキラーTを見つめる。

いつも眉間に皺を寄せて部下たちナイーブを引率してるのだが今はただの一人の男になっている。端整なその顔立ちと見事な深い色の金髪は他に見たことがない。

 

窓から射し込む光に反射してまるで発光してるように眩しく光り輝くその髪を触ってみたくて腕を伸ばしてそっと触れた。

ツンツンしてる見た目とは異なり柔らかくてふんわりしている。指の間をくすぐって絡み付くのが愛しくて思わず小さく笑みを溢していた。

それでもまだキラーTは起きない。

 

滅多に触れる機会がないから物珍しさにまじまじと見つめてしまう。頭から下に手を滑らすと自分とは違う健康的な肌色の頬を撫でた。

眠る前に綺麗にしたのか血の跡が一つもなかった。

 

頬を撫で、確かめるように太い眉の感触をなぞり高い鼻梁をスーっと指の腹で滑らせて唇に触れる。厚くてふにっとしてる…。

 

いつもこの唇が『好中球』と好きな低い声で呼んでくれて、愛してくれる…。

 

思い出したら好中球は一人で起きているのが途端に寂しくなった。

こんなにいっぱい触れているのにキラーTは未だに全く起きる気配がない。

殺し屋なのに、と思うのだけど自分だから警戒する必要がなく安心して眠ってくれるのだと分かっているからただただ愛しくて思うだけだ。

 

けれどそろそろ起きて貰おう。

 

顔を近付けて軽く唇にキスを1つ。

少しだけ顔を引いてじっと見つめると閉じられていた目がゆっくりと開いた。

まるでお伽噺の眠り姫を起こす王子になった気分だった。そしたら眠り姫はキラーTか?ドレスを着たキラーTを刹那に思い浮かべて好中球は溢れた笑みを挨拶と共に誤魔化した。

 

「おはよう、キラーT」

「…好中球」

 

やっとその目に写れた事に好中球が微笑めばぐっと腕に力を入れて引き寄せ、今度はキラーTからキスをした。

ちゅっちゅっと唇や顔中に降り注ぐ触れるだけのキスを嬉しそうに受け入れる。

 

「ふふっ」

「…おはよう、好中球」

 

うん、おはよう。とくすぐったそうに笑うのにキラーTも顔を綻ばせる。

 

なんという至福の目覚めだろうか…。

 

後頭部に手を回して白い髪をくしゃりと撫でる。

肩口に顔を埋めてグリグリと甘えれば白い手がやさしく頭を撫でてくる。

幸福過ぎて叫び出したい衝動に駆けられるのを何とか抑える。

 

好きだ。

 

どうしょうもないくらいに。

 

胸の内がムズムズし出した頃に頭を撫でていた手がポンポンっと叩く。

キラーTが顔を上げると好中球が何かを待つようにキラーTを見つめていた。

 

黒い目を見つめてキラーTはふはっ…とくしゃりと笑った。それに釣られて好中球も笑う。

どちらが先に動いたのか、二人は唇を合わせた。

さっきのように触れるだけのものではない、互いを喰らい合うかのように激しく口腔をまさぐる。

 

横向きに横たわっていたのをキラーTが身を起こして好中球に覆い被さる。

好中球が長い腕を首に回して引き寄せ、スラッとした筋肉が引き締まった足をキラーTの腰に絡ませてガシッと捕まえた。

 

1週間分の休息は取れてないけれど今更止まれる訳がない。

 

二人の目の奥には欲望の炎が熱く燃えている。止まる理由は、ない。

 

 

 

 

END

 

◆本能(高土)と近況報告

※高土♀がライオンです

※この話は2話ぐらいです、ほんでちょっと?いや、かなり土方さんが乙女ww

※1話はファイルのどこかにあるのですけど行方不明なので公開は気長にお待ち下さい←

※土方さん高杉が大好き過ぎるので注意!

 

 

 

 

 


土方が高杉に着いて来て高杉の岩山にある塒に住み着いてから随分と時が経った。

土方は塒の掃除をしながら時折ベットでのんびり寝転がる高杉を見ては、嬉しそうにまた掃除を再開する。

 

二人で共に時間を過ごすのも慣れてきた。

鼻歌を歌えそうなほど土方の周りに花が咲いていると寝床でのんびり寝転がっていた高杉の耳がピクリと僅かに動いたと思うとピンと立ち上がってその双眸が鋭く光った。

土方が首を傾げると地鳴りが鳴り始めて物が小刻みに震えだし、足元から崩れそうな感覚に襲われる。

何事かと土方が周りを見渡すと高杉はその異変に瞬時に身を起こした 。

 

「あっ…!?」

 

いきなり体を揺らす程の強い揺れに驚いた土方が小さな悲鳴を上げてガクッとバランスを崩した。

しかし地面に叩き付けられる前に高杉が倒れそうになった土方の身体を支えて腕の中に落ち着かせる。

 

「ぁ……」

 

力強い腕と暖かい高杉の胸板に触れて土方は赤く頬を染めた。

地震は未だ止まず、 一定の揺れを保ったまま止む気配はないがこれ以上大きく揺れる気配もない。

しばらく土方を腕の中に閉じ込めて耳を立たせながら信心深く周りの様子を見る高杉。


「…治まったか」

 

長い間揺れていたが、 揺れ一つしなくなって高杉はポツリと呟いた。

もう大丈夫だろうと思い、 高杉が土方を見下ろすと土方は赤く頬を染めて熱の籠った目で高杉を見上げていた。

いつの間にか地震の事など忘れていた土方は高杉の事しか頭になかった。

 

「…高杉」

 

高杉は離れようとするが、 土方が更にくっついて離れようとしなかった。

見上げてくる視線は強く熱く、 高杉は何かを諦めたように土方の腰に腕を回すと引き寄せてそっと唇を重ねた。

 

「ん…」

 

この塒に来てから、初めての口付けだ。

拒絶されたことも冷たくあしらわれたことも、 出ていけとも言われたことがない。

ちゃんと存在を認めてくれて狩りの時に負った傷にも、 気付いてくれて手当てをしてくれた。

寡黙過ぎて言葉数は足りないけどちゃんと気にかけてくれた…。

 

そんな高杉に土方は更に惹かれてた。

けれど、高杉は触れてはこない。
野生のライオンの雄雌が一つの塒に一緒に居るなら、 交わることがあっても可笑しくない

土方も高杉と交わることもちゃんと想定して着いて来たものの、 当の高杉は指一つ触れてこない。

寝る時は寒さを凌ぐために寄り添って眠るのだが、 それだけでそれ以上はない。

 

別に土方は交尾をしたいのではない。
雄雌のライオンが一つの塒にいて、 何もないということは自分を雌として意識していない証拠なのだ。

それを気にして時折高杉に問い掛けようと口を開くがいざ聞こうとすると、答えを聞くのが怖くて聞き出せずにいたのだ。

 

しかし今触れる腕の力強さと支えてくれた高杉に土方は胸のトキメキを抑えられない。
いつの間にか体温が上昇して高揚する気持ちを抑えられず高杉が離れようとすると離したくない思いでその胸に頬を擦り寄せてくっついていた。

 

初めて交わす高杉との口付けは情熱的だ。


「ん、ふぅ…っ…」

 

ちろりと唇を舐められて反射的に微かに口を開くとその僅かな隙間を高杉の舌が滑り込み、奥に隠れてる舌を捕らえる。

 

「んんっ…」

 

ざらついた熱い高杉の舌に土方はびくりと震え、 高杉の背中に腕を回してしがみつく。

 

「あ、ん…っ」

 

奥に縮こまって逃げる土方の舌を高杉がつついて尚も逃げようとすると素早く絡めとられ、強弱をつけながら甘噛みされ肩が跳ねた。

 

「あぁ、っ…んんっ」

 

跳ねた肩をあやすように撫でられきゅーっと痛いほど強く舌を吸い上げられると、 土方の体全身にゾクゾクと甘い痺れが走りかくんと下肢の力が抜けて高杉によってゆっくりと寝所に下ろされた。

余りの気持ち良さに喉がグルル…と甘く鳴る。

 

「ぁあ……はぁ…ぁん…ッッ」

 

土方は呼吸が止まりそうな激しい口付けに頭の芯まで蕩けてしまう 。

ようやく高杉が口付けをやめて唇を離す時には土方は肩で息をして呼吸を乱していた。

 

「…止めるなら、今だぜ?」

 

高杉は土方を見下ろして言う。

目の奥に揺らめく欲望を隠しもしない高杉だが逃げるのなら今の内だと、土方に逃げ道を作ってくれている。

 

もしここで土方がやっぱり怖いからと逃げ出しても高杉は追って来ないだろう。

落ち着いた頃に戻ってきてもいつものように無条件に受け入れてくれて追い出しもせず、いつものように寝床でのんびり眠そうにするのだろう。

 

けれど、そんなの土方が許さない。

こうなるのを土方は望んでいた。高杉が欲しかったから。なのにこんなに昂らされて逃げて良いぞ、なんて言うのは狡くないだろうか。

 

こんなにも欲しいのに、なんて狡い男だ。

 

土方はまだ痺れる腕をゆっくり持ち上げると鋭い爪を剥き出しにして高杉の胸元に爪を立てて下に滑らした。

ピクッと体を揺らした高杉だけど土方の好きなのようにさせている。

 

すると高杉の鍛えられた胸元からお腹に掛けて4本の紅い線が浮かび上がり遅れて血がじわじわと滲んでくる。

それの様をうっとり…と眺めてから土方は優艶に微笑んだ。

 

「もう…待てない」

 

鋭い翡翠の目がスッと細められると、その口許が弧を描いた。

 

 

 

END

 

 

 

 

◇近況報告◇

こんにちは!最近原稿が忙しくて全然更新出来ておらずすみませんでした…(泣)

スパコミに高土を持っていくのでその原稿を急いで終わらせようとしてるのですけど如何せん仕事しながらの原稿は思いの外キツくて小説なんて書いてる余裕はありませんでした…!!

なのにそんな切羽詰まった感じなのに今月の頭くらいから最近旬の【はたらく細胞】にハマってしまいまして…キラーT細胞に見事に堕ちましたとも!はい😂💦

なので好きが勢い余ってキラーT×白血球の本も出すことにしました。スパコミで。

スパコミ10月7日ですよ?〆切もあるから入稿予定日から一月も切ってるのよ?高土の原稿もやりながら今からキラ白の原稿って自殺行為ですよね!?でもキラ白楽しくてノリに乗ってるので余裕だと思います✌✨

人気なのに支部に行くとキラ白のイラスト54件の小説116件と少な過ぎません??え?キラ白クラスタどこ…?!!ってなりながら日々仕事しながらの原稿をやっている感じで御座います。

 

キラ白楽しいし可愛い。

鬼滅も蜜璃ちゃんが可愛いし尊い

 

でも…!!!!!

 

一番の衝撃は銀魂がとうとう終わってしまう事ですよーーーー!!!!!!😭😭😭💦💦

一昨年?のJFから最終章に入るってあった時から「まだ終わらないやん(笑笑)終わる終わる詐欺?(笑)」って友達と笑ってたのにホントに終わってしまうなんて……悲しいけれど空知先生も長い間頑張って来たんだしそろそろ休んで下さいって気持ちなんですけど、出来れば高杉と土方さんが出会ってからというか絡んでから終わって欲しいー!!!😢💦💦

 

高土…!!アニメグッズのラバストで高土は出たし、小説でも高土絡んだけど原作!!原作では全然絡んでないから…!!!

絡んで欲しかったよぉ…だって残り3話で高土絡むとは思えないもの…絡まずに終わるのでしょ…??高土クラスタとしてはツラい…そして高杉は生きるのか死ぬのかも知りたいよ…お願いだから生きてね…😢

 

なんか長くなりましたけど私は元気です。

高土とキラ白の原稿を頑張ってます。小説の更新は乏しいですけれど、これからも高土書いていきます(*^^*)

本に興味のある方はもし良ければ2018年10月7日の東京ビックサイト銀魂スペまで遊びに来て下さいませ~🙌

 

 

2018.8.31

◆いつだってその手は(高土)

※3年Z組兄弟パロ

いつもの如く土方さんが高杉を大好き過ぎる

 

 

 

銀魂高等学校の3年Z組ーー…

教室の中はいつもと変わらぬ賑やかな光景が広がっていた。

 

グループを作って喋ってる子達もいればリコーダーを利用してチャンバラごっこしてる生徒もいる。高校生にもなってチャンバラごっことかって言う奴もいるがこの3年Z組の生徒達の頭の中は緩いから年は関係ないといっていい。

そんな騒がしくも比較的いつもよりも平和な教室の中を風紀員副委員長の土方は騒々しい周りを意にも返さず後ろの席でそろばんの教科書を開いて読み込んでる兄である高杉の所へ向かった。

 

「晋助、」

 

声を掛けると高杉は教科書から目を離すと弟の土方へ視線を向ける。

視線が交わると土方は僅かに笑みを溢し高杉に今夜は遅くなるのかと問い掛けた。

以前に神威が襲来した時から兄弟だと周りに知られてしまった時から土方は周りの目を気にする事なく遠慮せず高杉に声を掛け、共に帰るがあった。

 

しかし土方は剣道部に身を置いてる為、放課後になると体育館に居るのが殆どのため帰宅部の高杉とは毎日帰る事は敵わない。

だから高杉と帰れるのは剣道部が休みの時だけだが今日がその剣道部の休みだったのだ。高杉は気紛れな性分だからいつの間にか消えて先に帰ったクセに何をしてたのか、帰ってくるのが深夜遅くだ。

 

こうして聞いておかないとのらりくらりとされてしまうので教室に居る今がチャンスとばかりに土方は聞いたのだ。

帰る場所は同じだから別に一緒に帰る必要はないのだけれど1週間の内5日間は学校で顔を合わせるもお互い周りに仲間がいるから大して話せないし…長く一緒に居たいのが土方の気持ちだった。

 

まさか自分でも自覚する程のブラコンだったとは夢にも思わなかった土方だ。

 

「部活休みなのか」

 

土方が問い掛けた真意を瞬時に理解した高杉が返すと土方は頷いた。

すると高杉は目を細めて和らげるとそうか、一緒に帰るぞ、と口許に笑みを浮かべた。

 

いつも酷薄な笑みを浮かべてる高杉だが家族である土方には親愛の証といえば良いのか、向けてくる笑みが柔らかく暖かい。

 

見つめられたら隻眼の翡翠の目の前では嘘等通用せず全てを暴かれたような心地になる程に清みきってる高杉の目を含めその相貌は綺麗だ。

目付きの鋭さや酷薄な笑みを浮かべる薄い口許は畏怖を覚えさせられるけれどよくよく見ると高杉は美人と言われても可笑しくない程に目を奪われる。

 

それは土方も例外ではなく兄でもあるがその柔らかい顔に目を奪われるしドキリッと胸が高鳴り心臓がきゅーっとなり切なくなる。

改めて自分は兄が酷く大好きなのだと改めさせられる。

 

ほわほわっと高杉と土方の周りに花や蝶が舞う勢いで和んでいたらそんな二人をいつから見ていたのか、沖田が疑問を口にした。

 

「二人は最初からそんなに仲が気持ち悪ィ程だったんですかィ?」

 

気持ち悪いってなんだ、と土方が沖田を睨むけど二人があれこれと下らない言い合いをする事はいつもの事だから険悪な雰囲気はない。

 

しかし周りも鬼と恐れられるが優等生とも言える土方と銀魂高校最凶の不良というレッテルを貼られてる高杉が仲睦まじくしてる所を見てると沖田と同じ事を思っていたのか遠目にこちらを眺めていた。

 

その視線が煩わしくてチッと舌打ちする土方だっが律儀な性分の土方は違うと否定した。

それに沖田が不思議そうに目を瞬かせた。

 

そう、土方は最初から高杉が大好きだった訳ではない。高杉と土方は腹違いの兄弟だった訳だから産まれた時から一緒だった訳じゃなく、一緒に暮らし始めたのも高校上がって直ぐの頃だ。

 

初めて顔を合わせたのもその時だ。

まだ思春期の時期を抜け切れてなかった土方はいきなり『はい、お前のお兄ちゃんだよ』と言われても両手を上げて満面の笑みでわーい!お兄ちゃん!!ってなつく筈もないだろう。

 

自分のテリトリーに無遠慮に他人が入り込もうとするのが一番苦手な土方は急に現れた『兄』という存在をそれはもう訝しんだし無意識の内に拒否をしていただろう。

 

土方は朝練や放課後の部活で朝早いし帰りも遅い。高杉はいつも遅刻してるのか土方が朝起きる時はまだ眠っていたし帰りは土方がぐっすり眠っている深夜遅くで同じ家に居ても顔を合わせる事もなかったし付かず離れずな距離だった。

土方は自分が高杉を『兄』と認めず苦手としてるように高杉も自分を『弟』として認めてないだろうとずっと思っていたがある日を境にそれは違うと考えるようになった。

 

ある日、いつものように高杉と顔を合わせる事もなく1日を終えようとしてたが今日の部活に力を入れすぎて激しい疲労が反って土方の目を冴えさせた。

丁度明日は日曜日で部活は休みだから夜更かししても問題ないのだが規則正しい習慣が乱れる事を許せない土方は早く眠りたいとベッドに横たわり頑張って意識を沈めようと奮闘していた。

そんな時に下の階からガチャっと玄関の開く音が聞こえ土方はびくり、と肩を揺らした。

高杉が帰って来たようだった。時計の針は深夜の2時を指していて土方はこんな遅くまで遊び歩いてる高杉に顔をしかめた。

両親が共働きで家に居ないからって好き勝手し過ぎではないのか?と憤りを感じたが関わるのを良しとしない土方は心の中で高杉に文句を浮かべる。

階段を上がる音が聞こえるとその音が近くで聞こえてくるのを土方は不思議に思った。

高杉の部屋は階段を上がって左に行った奥の部屋で土方の部屋は階段を上がって右の奥で何故高杉が土方の部屋の方へ来るのか、分からなかった。

 

もしかして寝惚けて部屋を間違えてるのか?と土方が思うのと同時に部屋の扉が開けられて土方は思わず寝たフリをした。

何で部屋に入ってくるんだよ、早く自分の部屋に戻れ!と心の中で叫んでみても寝惚けていると思った割に聞こえてくる足音はしっかりとしている。

 

足音がベッドの横で止まると知らず知らず土方は息を止めていたのか丸で耳の横に心臓があるかのようにドクンッドクンッと心拍音が大きく聞こえた。

一体何だ、と土方が思ったその時、頭に温もりを感じて思わず僅かに身動きをしてしまう。

 

え?と何事かと驚く土方を余所に高杉のものであろう手が土方の頭を優しく起こさないようにしながら撫でて、そっと離れた。

そしてそのまま踵を返して土方の部屋を出て行くと自分の左の奥の部屋に行ってしまった。

 

目を見開いて土方は撫でられた頭をなぞるように触れると、高杉…?と更に眠れなくなり困惑した一夜を過ごした。

 

それから相変わらず二人は話す事も顔を会わす事もなかったが次の日部活が休みの時、土方は遅くまで起きて高杉が帰って来ると寝たフリをするようになった。

前に高杉が部屋に入ってきて頭を撫でられた時、土方は困惑した一夜を過ごしあれは高杉が寝惚けていたのだと納得しょうとしたが確信に迫らないと気が済まない性格だったから夜更かしして高杉が帰ってきたら寝たフリをしてどうなるかを、試したのだ。

 

すると試した結果高杉は別段寝惚けていた訳ではなく、確たる意思を持って帰宅した時に土方の頭を撫でてから部屋に戻ってくのだ。

もしかして今までずっと知らなかっただけで高杉はずっと眠っていた土方の頭を撫でていたのか?と知った土方は何を思ってそうしてるのか高杉に聞きたくてしょうがなかった。

 

この時から既に土方の中で高杉は苦手としたものじゃなくなっていた。

まだ『兄』という認識はないが自分を嫌っている訳ではないと分かった。わざわざ土方が眠っている時に頭を撫でていくのは土方が高杉を認めてないと分かっているからなのだろうか、高杉は最初から土方を受け入れていたのではないか、と色んな事が頭を過っては消えていく。

 

高杉のいつも手は優しかった。

高校生の割に掌が大きくて噂でいつも喧嘩ばかりで人を殴っている手だと知っているのにその手はいつも眠っていると思っている土方を起こさないようにそっと土方を黒髪をすいて撫でて離れていく。

 

それが幾度か目になるといつしか眠っている時ではなく起きてる時でも撫でて欲しいと土方は思うようになっていった。

だからそう思った日にまたも寝たフリしていつものように高杉が部屋に入り、頭を撫でてくれた時にさも今起きたかのように寝返りをうつと目を開けて高杉を見上げたのだ。

 

晋助…?と恐る恐る声を掛けると頭を撫でる手が一瞬動きを止めたがそれも一瞬で直ぐにまた頭を撫でてまだ遅い時間だから眠っていろ、と微笑んだのだ。

 

頭を撫でる手に添え、何で?と尋ねた。

高杉は添えられた手を握って土方が何故撫でるのかを知りたがっているのを理解して誤魔化す事も弁解もする事もなくただ、お前は俺の弟だから、と溢した。

 

それだけで十分だった。

土方はそれだけで高杉を『兄』と認めた。

自分の中に入る事を許した。この時にやっと二人は本当の家族で『兄弟』となった。

 

 

 

「土方さん?」

 

高杉を兄と認めた時を思い出して黙る土方に沖田が声を掛けるとハッと正気に戻ると何でないと返す。

 

「何でもねぇよ、てか俺と晋助の事は良いだろ別に」

 

高杉との事は二人だけが知っていれば良いし周りが知った所でからかわれるのが目に見えている。

好奇心の目から逃げるように土方は高杉の手を引っ張り取りながら沖田たちに向かってまた明日と返すと教室を後にした。

 

「十四郎」

 

引っ張られるがままに高杉が土方を呼ぶ。

振り返ると高杉が笑っている。

 

土方の頭を優しく撫でる手は、土方の手の中にあった。

 

 

 

END

(なんかよく分からなくなった…)

◆夏(高土)

 

 

高杉は人工的な風が嫌いだった。

だから今では当たり前に一般家庭に置かれているエアコンも、昔から愛用されてきたが旧いとされる扇風機も気に入らなかった。

 

扇風機は風が強すぎて最初は涼しくて良いと思うが少しすると強過ぎる風に髪を乱され、音を騒音と感じて鬱陶しくなる。

エアコンは送られてくる風が冷た過ぎて涼しくなるよりも冷凍庫にいるような肌寒さであっという間に風邪を引いてしまいそうになり、やはり高杉は人工的に作られたものが嫌いだった。

 

だから高杉の部屋にはエアコンはない。

辛うじて扇風機はあるが滅多に使われる事はなく、窓を全開にして風通しを良くしたくらいのものだった。

 

茹だるような暑さでも高杉は暑いと口にしてても扇風機を使わない。

 

うちわを片手に風を自分に送りながら、縁側に座り外の景色を眺めた。

大きく前を開いた白いシャツから覗く肌には水玉になった汗が滲んで滑る。

傍らに置いてあった水の汗が落ちる麦茶が注がれたグラスの中では大きめに作った氷が小さくなってカランッと高い音を立て泳いだ。

 

蝉のミーンミーンと雌を求めて求愛の鳴く声が何処かしこから聞こえるのにやっと夏が来たのだと知らせてくれる。

 

 

「高杉」

 

部屋の襖が開けられ、そこには土方が額や首筋に汗を滲ませながら入ってきた。

高杉は外から視線を中に入ってきた土方に移した。

 

土方は徐に服を掴むとパタパタと中に風を送り込むように前後させながら高杉に近付く。

 

「こんなクソ暑いのに扇風機すらも動かしてねぇのかよ」

 

「エアコンも扇風機と嫌いなんでな」

 

俺は暑くて死にそうなんだが?と高杉を見下ろし、その傍らに座って高杉の傍らにある麦茶を断りもなしに一気に仰いだ。

土方が一息ついたのを見届けてから高杉は考える素振りを見せると、扇風機別につけて良いぜ?と笑った。

 

「…あ?」

 

扇風機嫌いじゃなかったのかよ、と訝しげに見返してくる土方に高杉は余計に冷えた体はお前が暖めてくれンのだろォ?とグラスの冷たさが残った指に唇を落として返した。

 

目を見開いた土方だったがフッと笑うと捕らわれた指先に力を込めてその手を握った。

 

「上等だよ」

 

 

 

END

(嫌いなものでもお前が居れば問題ない)

ただ美琴がエアコンと扇風機が嫌いなだけの話でした…w

◆高土(ショタ方さんの続き)

 

 

「……晋助、これは一体…」

 

高杉はあの宿で一晩だけ寝泊まりして朝一に起きると幼くなった土方を連れて鬼兵隊のアジトである船に戻ってきた。

船に戻って自室に戻ろうとした時に丁度通り掛かった万斉と鉢会い、昨日と同様に片腕で土方を抱えている首領を見て万斉は部屋で作詞をしつつ楽しもうと持っていた熱燗を落として固まった。

 

その後にガラスの割れる音に反応してまた子もやってきて子供を抱えている高杉を見て悲鳴を上げてわなわなと震え出すのに我に返った万斉が押さえつけて高杉の部屋にお邪魔して冒頭の台詞に繋がる。

 

万斉は気が付くとふらっといつの間にか消える高杉に頭を悩ませて困っていたが、まさか子供を連れて帰って来るなんて、普通は思わないだろう。

一体何が、と頭を抱える万斉だったが当のその首領は知らぬフリで煙管を吹かしている。

 

 

「し、晋助様ぁ~!!!その子供どこの女に孕ませたっスかぁ!!」

 

また子が涙ぐんで高杉の傍らに駆け寄り眠いのか胡座をかいた高杉の足の間に陣取って欠伸を一つ溢して目を擦る子供を指差して声を張り上げた。

万斉とまた子とは初めて会うだろうに土方は怖がる素振りも警戒する素振りも見せてない。真選組の連中には逃げ出す程に警戒していたのに、高杉が傍に居るからだろうか、今にも目を閉じて眠りそうだ。

 

「勘違いするな。これは土方十四郎だ」

 

目を擦る手を止めさせて向かい合わせになるように小さな体を抱き上げて体勢を変えて凭れさせると眠気のせいか体温の高い背中をゆっくり撫でてやる。

すると眠りを誘う高杉のその手に土方はうとうとと目を閉じた。

 

その一連を眺めていた万斉とまた子は子供の正体がまさか真選組土方十四郎だった事よりも高杉が子供をあやした事によっぽど驚いて目を見開いている。

 

「……え?」

「……は、?」

 

また子と万斉は余りの驚きに開いた口が塞がらなかった。

そんな二人を高杉は放っておき、眠ってしまった土方をあやしていた手を離すと今気付いたとばかりに吹かしていた煙管を懐に仕舞う。

気にする必要はないだろうけど一応腕の中にいるのは子供なのだし、何かしら影響を受けてしまったら面倒くさい。

 

「……その子供が土方十四郎だとして、それが何故お主と一緒に居るのだ」

「そうっスよ!土方と言えば真選組副長、アタシらの敵じゃないっスか!!」

「もし真選組土方十四郎がここに居ると知れば総攻撃を受ける事になるでござる。どうするつもりだ、晋助」

 

万斉が神妙な顔持ちで切り出すのにまた子も事の重大さと総攻撃を受けるアジトを想像して表情が強張って固くなる。

しかしそんな緊張を走らす二人をいざ知らず高杉はあぁ、そんな事か。とあっさりとした返事を返す。

 

真選組には既に知れている。コイツを持ち帰ったのは真選組の前だったからな」

 

今度こそ万斉とまた子は動きを止めて息も忘れたかのように固まった。

 

その後、お腹が空いたのかぐきゅ~と可愛らしい音を立てて起きた土方が高杉を見上げるのに気付き、小一時間くらい固まっていた万斉を蹴飛ばして飯を持ってくるように命じる高杉。

万斉は何十年分も老けたかのように疲れた顔で部屋を後にするのだけど高杉はそんな万斉も苦労も気にしていない。

 

また子と言えば万斉が蹴飛ばされたのに巻き込まれて床に転がったがそのおかけで我に返り意識が戻ったが高杉の命令が第一なまた子には高杉が殺さず土方を連れて帰って来たということは面倒を見るという事で間違いないだろうと一人納得した。

 

だったらまた子は晋助様に従うのみっス!!

 

羨ましい限りで高杉の膝で寛ぐ土方を見下ろしてまた子は意気込む。

そんなまた子を土方がじぃっと見上げていた事を膝に乗せている高杉しか分からなかった。

 

数分もすれば万斉が土方の為に子供用の軽い朝ご飯と高杉の為に一つ酒を持ってきた。

土方を膝から降ろし、台の前に座らせると高杉はまた子がお猪口に注いだ酒を口に運ぶ。

けれど土方は箸を持つこともなく目の前の料理をじっと見つめている事に気付いた高杉が声を掛ける。

 

「どうした。きらいなもんでも入ってたか?」

 

土方は高杉を振り返って見上げると首を横に振り、今度は万斉を見上げてぼそっとマヨネーズ…と溢した。

万斉はマヨネーズ?と首を傾げたが土方が望む通りにマヨネーズを厨房から持ってくると土方に手渡した。

すると土方は嬉しそうに、あろうことかマヨネーズを丸々一本をぶっちゅ~っと何の迷いもなく目の前の料理に見えなくなるまで掛けたのである。

 

万斉とまた子はピシッと固まった。

流石の高杉も多少驚いたのか口に運ぼうとしていたお猪口を持つ手が止まる。

 

「ギャァアアア!!ちょっ、アンタ何やってるっスかぁ?!!何の嫌がらせっスか!!」

「そんなにマヨネーズを掛けると体に悪いでござるよ」

「万斉先輩それズレてますっス!!」

 

万斉とまた子が土方の傍で騒いでるのに対し、高杉は可哀想になァ…真選組での仕事で頭がやられて味覚までも可笑しくなっちまったンだなァ、と土方に対し全力で哀れんでいた。

攘夷時代の時は戦火が激しくてまともに食事にもありつけず豚の餌でも平気で食べれる高杉であったが流石にマヨネーズの海は未知の世界だったようだ。

 

「良い。好きに食べさせてやれ」

 

高杉に言われて万斉とまた子はぴたりと夫婦漫才のようなコントを止め、大人しくなる。

土方は高杉を見上げてこてっと首を傾げる。

 

「好きなんだろ。構わずに食べろ」

 

土方は高杉に言われるがままに嬉しそうにマヨネーズの海になってしまった目の前の料理にありつけた。

にこにことマヨネーズの味だけであろう物を頬張る土方を見下ろして高杉は小さく笑みを浮かべた。こんな可笑しなものを食べていてよくもまぁ真選組の副長に治まっているのだからひどく可笑しい。

 

万斉は顔に出さないものの、それは美味しいんでござるか?とありありと顔に書いており、また子は気持ち悪いのか明後日の方向に顔を向けて鼻を押さえている。マヨネーズの酸っぱい匂いだけでダメみたいだ。

 

止めていた手を動かし酒を再び呑み始めると不意に土方が高杉を振り返る。

ん?と見下ろすと土方は小さい腕を伸ばして高杉に向けてマヨネーズだらけになってしまった哀れな卵焼きだったものを差し出したのだ。

 

「……あ?」

 

片眉を上げて高杉が怪訝な顔をしていると土方が尚も腕を突っ張って高杉の口に目掛けて手を伸ばすものだから土方の意図に気付き困惑した。

別に食べたい訳ではなかったのだが。

 

「それはおめェのだろ?俺ァ良いから食えよ」

 

首を振ってやんわり断る高杉に土方は真っ直ぐな目で返した。

 

「何で?食べないと動けなくて死ぬ」

 

きょとり、と何の躊躇いもなく死を口にする子供に高杉や万斉たちは目を見開く。

 

幼くなったからと云って純粋無垢な子供とまでは戻ってないらしい。この子供はちゃんと自分の置かれている状況、居る場所の危険性が死との隣り合わせで立っている事を理解している。

だから食べないと体力を失い、動けなくなり弱った隙に斬られるという事を分かっている。

 

「ククッ……そうだなァ…動けねェと困るもんなァ」

 

え?!晋助様食べるんスか?!!!と身を屈めた高杉を見てまた子が悲鳴を上げる。

土方が持つスプーンいっぱいのマヨネーズを口に入れて高杉は甘酸っぱい酸味のそれを咀嚼した。

やはりほぼマヨネーズだったが食べれない事はない。

 

迷うことなく咀嚼した高杉に万斉とまた子はもう何も言えなかった。

今日は驚かされる事ばかりで一々リアクションを起こすのも疲れてしまった。

土方は食べた高杉を確認して嬉しそうに笑って子供らしく頬を赤く染めて微笑んだ。

 

自分の口に運んで食べると今度は高杉の口許に運ぶ、その一連の流れを繰り返して土方は自分の食事をしながら高杉にも食べさせていた。

高杉は特に拒否せず黙って土方が口許に運ぶものをぱくっと素直に口を開けて咀嚼する。

 

あぁ…晋助様が犬の餌を食べている…!!とまた子は青褪めた顔でオロオロと止めさせようか、でも黙っている晋助様を止めて良いのか分からず途方に暮れた。

 

図らずも土方に翻弄される高杉の部下たちであった。

 

 

「それで晋助、土方をどうするつもりで此処に?」

「どうもしねェよ。コイツに聞け」

 

食べ終わって満足したのか土方は高杉の首に腕を回して抱き付きながら頬を緩めている。

それは丸で親の傍で安心仕切った子供だ。

好きにさせながら高杉は万斉の問い掛けに淡々と応えつつも、その頭の中には懐に仕舞った煙管を吸いたいと別の事を考えていた。

 

万斉が高杉から視線を外して土方を見ると土方は高杉と引き離されるとでも思ったのか首に腕を回したまま高杉の背中に隠れて顔を半分だけ覗かせると万斉を吊り目な円らな蒼い目でジトッと見つめる。

それに苦笑いするしかなかった。

 

「いや、拙者何もせぬよ…」

 

悪の総代将とも言える高杉がまさかここまで子供に好かれるとは思わなかった。

まぁこの子供に限ってだと思うのだが…。

 

しかしこのままこの子供を此処に置いて良いのか万斉は些か困った。

この子供がただのそこら辺に居る子供だったら別に何の問題もないのだけれどこの子供は敵対組織の副長。真選組の頭とも言える立場のこの子供を奪還しょうと真選組は躍起になって此処を探すだろう。

 

簡単に見つかるつもりはないがこれまで以上に慎重に動かざるを得ないだろう。

縛られるのが嫌いな高杉の気儘な散歩も止めさせないといけないのだろうが…それを聞くような高杉ならこっちも苦労はしない。

 

何者にも捕らわれない高杉だからこそ、今まで着いてきたのだ。それは今の危機的状況でも揺るぎはしない。

 

まぁ、何とかなるのでござろう。

万斉はあっさりと考えるのを放棄して携帯カメラで高杉が崩れ落ちそうな土方を片手で支えてやる姿を写メって鍵付きフォルダに保存し待受にしてから冷えないように高杉の肩に羽織を掛けた。

 

 

 

END

◆高杉の独白。 (短い)

 

 


土方の肩を掴み、高杉はその顔を見上げた。
こんな時は自分が少々背が低い事に感謝した。
顔を隠そうとしても直ぐに阻止してその顔を拝めるから。

 

泣きそうな顔をしている。

 

そう気付いたときには高杉は土方を抱き締めていた。
土方が目を見開いて驚いているがそんなの気にしていられる訳がない。

想い人が涙している。
ただ突っ立って黙ってるなんて腰抜けのすることだろ。

相容れないからこそ、高杉はひどくこの男が愛しい。
手に入らないと言われたら何があっても手にしたいと思うのが道理。

 

あぁ…連れ去ってしまいてェな…。


なァ、お前が泣いていた理由が俺だと自惚れていいか…?

 

 

END

◆渇望1(高土♀)

※現パロ

※高杉はとある会社の社長でにょた土方さんはとある会社の副社長

※先の話では沖神の描写が御座います

 

 

 

 

 

 

 都内のホテルで開かれたお披露目パーティー。 

きらびやかに会場ホールを照らすシャンデリアの光を受けてシャンパングラスを片手に持ち笑顔で人と話す女たちのドレスを際立たせている。男たちはそんな女たちの傍らに立ちエスコートしている。

 

一通り何十人もの役人との挨拶を済ませて高杉は一息着くために桂と坂本に一休憩してくると伝えてからホールの中を後にして人の居ないバルコニーへと赴く。その背中を万斉が追い掛ける。

 

余り人付き合いが得意ではない高杉は愛想笑いばかり浮かべていた所為か知らず知らず針積めていたのか一人になって気分が落ち着いた気がした。

 

さっきまでは仕事の事ばかりを考えていたのだが一人になって他の事を考える暇が出来るとずっと頭から離れない人が居た。

会場の広いホールの中でも一際自分の目を惹き付けて離さなかった。

仕事の対話をしてた時も時折視界に入ってきて視線が自然と寄せられた。気の所為ではないと思うが何回も目が合っていた。

近付こうにも仕事で来てる為まだ会わなくちゃいけない重要な人物が多くてそれ所ではなかった。

こんな時に何故自分が社長をやっているのかと投げ出したくなる。

 

そうこうしてる内に見失ってしまったのだ。

酷く残念な気持ちになったがあれだけ自分の視線を奪ったのだ。他の人間も奪われたに違いない筈だから誰かに聞けばどこの人間かは簡単に知れるだろうとその場は諦めた。

 

こんなにも一人の人間を気になったのは初めてなのだ。 

簡単に諦めるような高杉ではない。

 

「晋助、待て。そこだとホールから遠い。どこへ行く?」

「休憩」 

 

万斉の制止の声も気に止めずに高杉はその場を離れる。

言うことを聞かない高杉に万斉は仕方なそうにすると黙ってその背中を見送った。

共に行きたかったがまだやることがあったし高杉が一人になりたそうにしていたからそっとしておく事にしたのだ。

 

 

 

***

 

 ・side土方

 

どこもかしこも騒がしい…。

愛想笑いに頬が若干痛くなりながら土方がそう思っていた。

 

 今日このパーティに出たのは新しく立て直したS.S.K(真選組)会社の紹介、それと社長のお披露目を合わせて来たのだがその肝心の社長である近藤が挨拶を少し済ませてから以前に一目惚れしたと騒いでいた女を追い掛けている。

 

何の為にこんなパーティに出てるんだと呆れた土方だったが近藤の事になると甘くなるから好きにさせていた。

 

その代わりといって少し休んでくるといってホールから抜け出した。

 

濃い碧のドレスが歩き難くて幾度か舌打ちしながらバルコニーに向かう。

あそこなら人もいないだろうし、一服出来る筈だ。

ポーチから煙草を取り出し一本箱の底を軽く押し出して一服する準備をしながらバルコニーに足を踏み入れようとした時、既に先人が居ると気付いた土方はなんだ、先客がいたか…じゃあ別の所に行くか。と溜め息を吐きながら踵を変えそうとしたがその後ろ姿に見覚えがあり、足を止めた。

 

見間違える筈がない、その後ろ姿は挨拶回りの時に何度も目で追い掛けた男の背中だ。

 

 風に揺れて紫紺の髪が靡くその様が頭に焼き付く。まるで映画のワンシーンのように靡く髪や指に挟んだ煙草を口元に運ぶ動きがスローモーションに流れて見える。

 

綺麗な光景だった。

 

 無意識の内に足を踏み出していたのか、カツッとヒールの甲高い音が響いてしまった。

男に近付きたいと、触れたいと思ってしまった。

人の気配に気付いて男が振り返ってくる。

 

そして、僅かに目を見開いた。

 

 

何故ならそこには高杉がずっと目で追い掛けていた女が立っているからだ。

蒼の瞳が濡れたようにキラキラしており月の光を受けて滑らかな白い肌が青白く発光してるようで眩い。

 

二人は一歩も踏み出さず、お互いをじっと見つめた。互いの姿を相手の瞳で見つめながらまるで腹の探り合いでもするように相手の瞳の奥を覗こうとしている。

しかしそんな永遠とも、一瞬ともいえる時間は高杉が動いた事によって終止符を打った。

 

高杉が掌を上にして手を伸ばしたからだ。

土方はその手を見つめ、高杉を見るとその表情は笑みを浮かべていた。

土方は無意識に踏み出していた足を今度は自分の意思で動かし、高杉の手に自分の手を乗せて一つしか開かれてない碧の瞳を見上げた。

 

土方が深い蒼の瞳を持っているとすれば、高杉の碧の瞳は透き通っている。

ずっと覗き込まれたら自分を暴かれるようで土方はぞくっと快感に似た畏怖を感じた。

 

けれどそれで本望だと思っている。

二人は互いに見つめ合い、磁石と磁石が引き寄せ合うように顔を寄せてキスをした。

 

触れ合うキスを一度。

一度顔を離し、互いの顔を見つめ何かを確認するとまた顔を寄せた。
そして今度は触れるだけのキスではなく次第に激しく貪り食らうように応酬する。

 

「…んッ」

 

土方の細い腰に腕を回して引き寄せ、高杉の首に右手を回して髪の間に指を滑らし左手を背中に回して添える。

端から見たらそれは互いを逃がさないように拘束してるように見えた。

 

奪うような激しいキスを繰り広げてから数分、やっと顔を離すと二人は弾む息を整え高杉が今日泊まる筈の最上階に取ってあったスイートルームまで移動する。

 

このまま離れる、そんな選択肢は最初から二人にはなかった。