mikotoの呟き

小説(◆マーク)とお知らせや近況報告

◆煉炭♀(R18)

 

 

呼び掛けてくる優しい声がする。

炭治郎は身をよじった。もう、朝なのだろうか。

再び声がして、返事をしょうとしたが声が上手く出せず駄々を捏ねる子供のようにんん、としか声を出せなかった。

 

しかしそんな炭治郎の唇に柔らかいものが重なった。甘いそれに何だろう?と思って重たい瞼を上げると太陽みたいに眩しい金色の髪が目に広がった。

そして金と赤に彩られた瞳に見下ろされて炭治郎はふにゃりと笑った。

 

「煉獄さん…」

 

太陽みたいな金色と毛先が炎のような赤い髪、そして鋭い金赤の瞳。高い鼻梁に笑みを浮かべる肉感的な唇…自分に口付けをしたのが煉獄だと気付き炭治郎は起き上がろうとしたがしかし煉獄によってそのままベッドに押し付けられてしまった。

疑問に炭治郎の首が傾ぐ。

 

「煉獄さん…?」

 

そのまま煉獄は体を伏せられて炭治郎の上にのしかかってきてまた唇が重なった。

疑問に思いつつ炭治郎は吸い上げられて舐められるがままに煉獄からの口付けを受け入れた。

 

「竈門少年…」

 

煉獄が唇を離すと普段の彼からは信じられないだろう小さな声で炭治郎の耳元で囁いた。

 

「んっ…」

「おはよう、良い朝だぞ」

 

ぴこっとライオンがもつ薄く丸い耳が動き、朝の挨拶をするにはその声音は低く睦事を囁くような淫靡な響きをもっている。炭治郎は目を見開きおはようございます…と反射のように挨拶を返しながら煉獄の瞳を見上げた。

 

深い、色をしている。

スッと眼が細くなり、光った。炭治郎の鼻が捉えたのは濃い発情の匂い。

 

炭治郎の肩を押さえ煉獄は先程よりも唇をより深く触れ合わせくちゅ、と小さな音があがって炭治郎を震わせた。

 

「ん、っあ…煉獄さん、待っ…」

 

待って、と首を左右に振る。つられて黒い長い耳もぱたぱたと揺れるが煉獄は止まらず口付けを更に深くさせる事にしかならず炭治郎は深く貪られて息が出来ない。

呼吸をしょうと隙間を作ってもまるで呼吸さえも自分のものにするかのように煉獄に吸い上げられて炭治郎は肩を震わせて顔を赤く染めた。

 

「や、ぁ…あっ…」

 

炭治郎の唇に煉獄の舌が触れる。熱い、形を辿って舐めあげられるとぞくぞくと快感が背中から首に掛けて這った。

重なってくる大きな体は熱くて炭治郎は先程捉えた匂いで煉獄が発情期を迎えたことを分かった。

だが、

 

「れ、煉獄さん…待って下さいっ…昨日もシたばかり…」

 

炭治郎と煉獄は昨夜も愛し合ったばかりで炭治郎の体は激しい運動でくたりと力が入らず怠かった。

腰はもう上がらず手足を動かすのにも億劫でまた抱かれるとなると自分は本当に動けなくなってしまう、青ざめた炭治郎に煉獄は顔を上げるとじっと炭治郎を見下ろした。

 

「炭治郎…」

 

名を呼ばれる。熱っぽいその声に胸の奥が震えた。こんな時だけ名前を呼ぶなんてずるい。炭治郎は赤くなる顔を自覚してため息をそっと吐いた。

愛しいとその声音が伝える、受け入れてくれと匂いが教える。拒否したい訳じゃない、自分だって太陽のように強くて優しい煉獄が愛しくて好きなのだ。炭治郎は肩を押さえる煉獄の手にそっと手を触れ合わせた。

炭治郎なりの、これからの行為を受け入れるという了承だ。煉獄は嬉しそうに笑うと炭治郎の唇とまた触れ合わせる。

 

「ありがとう、炭治郎…」

 

濡れた煉獄の舌が炭治郎の唇を割り、やっと呼吸が出来たものの入り込んだ熱い舌が唇の裏側を、歯列を舐め溶かされる刺激に早くも呼吸が出来なくなる。

炭治郎の口腔をまさぐる、先端でくすぐるように、頬を抉るように…弱く強く翻弄するように炭治郎の舌を絡めとってじゅく、と水音が響いた。大きな手が耳を柔らかく撫でる。花札のような耳飾りが音を立てて揺れた。

 

「ん、ふぁ…っ」

 

意識を持ってかれそうな快感に肩を跳ねさせる炭治郎の裸のままの背に煉獄の片方の大きな手が回る。抱き起こされると煉獄は炭治郎の小さな肩に噛みついた。

ライオンの歯は鋭い。鋭い八重歯が肩に食い込み炭治郎は小さく悲鳴を上げて耳が一瞬ビクつきぺたりと伏せた。本能が鳴らす警告を無視して煉獄の頭を抱えた。

 

「あぁっ、煉獄さん…っ…」

 

くっきりと残った噛んだ痕を見て満足した煉獄は手を滑らせて癒すように噛み痕をそっと撫でる。

 

「君の体は本当に良い匂いがするな」

 

薄明かりの部屋の中、金赤の瞳が光り煉獄はちろりと舌舐めずりをして笑った。まるでこれからご馳走を貪り食らう腹を空かせた獰猛な獣の表情に炭治郎は肩で息をしながらドキりとした。

煉獄は自分の事を良い匂いと言うが自分からしたら良い匂いなのは煉獄の方だと炭治郎は思っていた。

 

そう伝えようとしたが、口を開くと同時に口付けられ言葉にならず鼻に掛かった声しか出せなかった。

 

「ん、んんっ…」

 

先程から与えられる口付けに息も絶え絶えになった剥き出しのままの炭治郎の胸を煉獄が掴んだ。炭治郎はひっと悲鳴を上げて顎を引いた。

慎ましくて可愛いな、とくすくすと笑い声を立てる煉獄は小さな胸を掴んでは離し、離しては掴むことを繰り返して愛撫する。

その度に甘い疼きが生まれ、昨夜の行為で疲れてた筈なのに体は熱くなってこれから先に待ち構える快感に期待して震える。

 

煉獄の発情の匂いに当てられたのか、炭治郎は体がうずうずして大きな刺激をもっと欲したい、と頭の中を支配する。

発情期を迎えて我慢出来ない筈なのにゆっくりと焦らすように触れてくる煉獄に歯がゆい思いをして炭治郎は思考が蕩けるのを遠くに感じた。

口付けをしたまま炭治郎は口を開くと煉獄と唇を触れ合わせたまま更なる快感を求めた。

 

「もっと…煉獄さん、もっと…下さい…」

 

熱に浮かされて言うと煉獄の口元は弧を描いて笑みを浮かべた。

煉獄の強い手が炭治郎の腰に掛かった。引き寄せられて反射的に強く引き締まった両足をもうひとつの手が開くとしたたり溢すそこが外気に触れて炭治郎は身を竦めた。

そこに、濡れそぼった熱くて固いものが押し付けられる。

 

「昨夜したばかりだからな、こんなにも濡れているし慣らさずとも大丈夫だろう」

 

ぐい、と勢いよく捩じ込まれる。

いきなりな事に力む壁を押し開き敏感な肉壁を突き上げながら奥へと進む。蜜が溢れ固い屹立を呑み込もうとする。

 

「あ、あぁ…あっ…!!」

 

炭治郎が高い声を上げて背中を弓なりに曲げ強い快感を逃がそうとする。

熱く熟した内壁を固い先端が抉るとがたがたと四肢を震わせながらも炭治郎は甘い声をあげながらやっと得られた大きな刺激に悦んでいた。

 

勃ち上がった煉獄自身がぬめる襞を擦り上げると炭治郎の内部はまるで絡み付くように動き、もっと先を、もっと深みを求めて締め付ける。

 

「はは、凄い締め付けだ…気持ちいいか?炭治郎」

 

掠れた煉獄の声に、炭治郎はきゅん、として胸を締め付ける。

その呼気は荒く、頬から汗が滴り落ちて炭治郎の肌を濡らし掠れたその声に炭治郎を耳からも犯した。

ぶるり、と震える炭治郎の襞を押し広げながら煉獄は腰を進ませて炭治郎?と促した。

 

動く度に声を上げながら炭治郎はこくこくと頷き、赤く染まった顔で絶え絶えになって答えた。

 

「は…は、いっ…気持ち、い……で、す…っ」

 

答えた途端、こりっ、と体の奥にある部分が擦り上げられその刺激が指先にまで痺れを生んだ。全身が痙攣し固く強ばって炭治郎の目を見開かせ生理的に浮かんだ涙がポロっと大きな瞳から溢れ落ちた。

 

「ひぁっ…!!」

「可愛いな、炭治郎」

 

良い所に行き着いたと気付いた煉獄が大きく内壁を擦り上げてその先端が見つけた突起を執拗に押し上げた。

炭治郎の悲鳴が部屋に響く。

 

「あ、ダメ、こんな、ダメ、です…っ…」

 

内壁が尖りきった切っ先に突き上げられる。

一気に引き抜かれ、じゅく、と卑猥な音を立ててしまうが惜しむ間もなく炭治郎は再び穿たれ擦り立てられ突き刺され、良いところばかりを何度も擦り上げられた。

 

「こんなに溶けた顔してダメはないだろう?」

 

深く穿ったまま炭治郎の顎を掴みぐいと引き寄せて唇を合わせる。

 

「ひぃ、あ…っ」

 

口付けをしたまま穿たれそうされると突き上げられる角度が変わって炭治郎は体を震わせて甘い疼きに胸を締め付けられる。

煉獄は深く口付けたまま腰を何度も突き上げてふるふると震えてる炭治郎のふわふわの丸い尻尾を掴んだ。

 

「んんんっ、ん、く…っ!!」

 

悲鳴を吸い取られ塞がれた唇を震わせて炭治郎は身悶えた。尻尾はどの動物にとっても弱点といっていい程弱い場所である。

そんな所を掴まれたら堪ったものではない、尻尾と肌の境目を撫でられぞくぞくと襲う刺激に涙を流しながら身悶える炭治郎を煉獄はなおも攻め立てた。

その固く滾った煉獄自身で突き上げかき回し襞を広げて唇を吸い上げて歯を立て噛み、舌を滑らせて中を抉る。

 

したたる唾液を啜りあげ同時に下肢を突き上げて激しく炭治郎を追い詰めると炭治郎は呻いた。

 

「も、ダメっ……れ、以上、は…」

 

ふっと、煉獄は笑った。炭治郎の体の上に煉獄の熱い胸が重なって抱き締められる。強く抱き締められて温かく、心を和んでくるような快楽に炭治郎も煉獄の背中に腕を回して力いっぱい抱き締めた。

 

「…炭治郎、」

 

煉獄は掠れた、愛しさを込めた声音で炭治郎の名を何度も囁いた。続けて腰を揺すり立てて炭治郎の耳が揺れる程の突き上げを与える。

 

「ひぁ、あっ…っ!!」

 

炭治郎は大きく背を仰け反らせて痙攣する。炭治郎を強く抱き締め、煉獄は二、三度強く突き立て濡れそぼる中に包まれた煉獄自身がひときわ大きく膨らんで炭治郎は目を見開く。

 

「あ、……っ、あぁ…!!」

 

きつく反った炭治郎の体の奥で火傷しそうなくらいの熱が勢いよく吐き出された。

爪先まで仰け反る衝撃に炭治郎は強く太陽のように明るい煉獄の髪に指を滑らせて抱き締めて体を震わせた。

 

「君が好きだ、炭治郎」

 

忙しなく肩で息をする炭治郎の頬に頬擦りして目に溜まって涙を舐めながらキスをして囁く煉獄に炭治郎は目を閉じて答えた。

 

「は、い…俺も、好きです…」

 

 

 

 

 

あの後、熱が治まらない煉獄に付き合い三回程して昼過ぎにやっと解放された炭治郎はもう指先動かすにも億劫でぐったりと寝床にうつ伏せになっていた。

 

そんな炭治郎の傍らで煉獄も寝転び疲れた顔の炭治郎を心配そうに見下ろす。

 

「竈門少年、無理をさせて済まない…」

 

申し訳ないと眉を下げる煉獄に炭治郎は笑って気にしないで下さいと掠れた声で答える。

確かに体は辛いけど発情期を迎えてツラいのは煉獄の方だ。本当ならまだ発情症状は治っておらず今も体に熱が溜まっているだろうに自分が限界だからと途中で行為を止めたのは煉獄だ。

 

番として逆に申し訳ないと感じてるのは炭治郎の方だった。

 

「いえ…俺の方こそ、煉獄さんの方がツラいのに…煉獄さんこそ大丈夫ですか…?」

 

ぱたぱたと揺れる長い尻尾が背中を撫でるのにくすぐったいと思いながら金赤色の瞳を見上げるとその瞳が柔く細められた。

 

「俺の事は気にしなくて良い、大丈夫だ!君のおかげでだいぶ熱も治まった」

 

炭治郎は大丈夫と笑う煉獄を見つめるがまだ鼻が濃い発情の匂いを捉えてる。それに気付いて煉獄は困ったように笑みを浮かべる。

 

「君は俺より鼻が良いんだったな!確かに体は熱いがそれよりも俺は竈門少年が大事なんだ、だから気にしないでくれ」

 

ニコっと頭を撫でられて炭治郎はきゅぅんと赤くなる。こんなにも大切にしてくれる煉獄に炭治郎は切なくなる。 

 

「俺が、」

 

枕に顔を埋めてくぐもった声で切り出すと、煉獄がん?と優しい笑みで先を促すのに炭治郎は目だけ枕から離し煉獄を見つめると続けた。

 

「俺が元気になったら、頑張ります…」

 

最後は小さな声になり、言い終わると同時に炭治郎は羞恥に完全に枕に顔を埋めた。

見えてる耳が赤くなってる。煉獄は目を見開いたが次第に嬉しそうに笑みを浮かべて頭の上でぷるぷると震える毛並みの良い黒い耳を撫でて炭治郎を抱き締めた。

 

煉獄の気持ちを表すかのように長い尻尾がぱたぱたと揺れている。

 

 

 

 END