◆五悠(R15)
「こ、れは…どういう状況…?」
高専の隠された地下室。
そこで軟禁され、寝泊まりしていた虎杖は真っ暗な部屋の中、己の体を跨って見下ろしてくる黒い布で表情が窺い知れない顔を見上げる。
先程まで深い眠りについていたのだけど夜の気配と、シーツの擦れる音に覚醒して目を開ければ自分に覆い被さる大きな黒い影。
生きている事を知っている人間は限られているからここにこんな遅くに訪れるのは一人しか居ない。
両手はキツく大きな手によって布団に縫い付けられてピクリとも動かず困惑したようにその目を揺らした。
「夜這いしに来た」
どうにか拘束する手を外せないかな、と腕を動かしてる虎杖を見下ろして五条は感情のない声音でしかしハッキリと虎杖の目を見て告げた。
その言葉の内容に虎杖は目を見開いた。
もしかしたら、五条は寝惚けているのかそれとも酔っ払っているのかもしれないと思った。
「先生、相手間違えているよ?」
俺、悠仁だよ?
とまるで子供を諭すかのように柔らかい声で五条を見つめるが寝惚けているにしては力強い手に頭のどこかで警戒音が聞こえる。
「悠仁」
僕は寝惚けていない。況してや相手も間違えていないよ。と無情にも五条は薄い唇に笑みを乗せた。
その声音はだだを捏ねる子供に言い聞かせるような口振りだった。
「ここに、」
両手を拘束していた片手を解き、その片手で虎杖の寝返りの時に乱れたのか綺麗に割れたお腹が覗く臍の下に指を滑らせれば虎杖はビクリと震える。
「僕のを突っ込んでぐちゃぐちゃに掻き回す」
「ッッ…!!」
衝撃的なその言葉に虎杖はカッと頬が熱くなって紅くなるのを自覚した。頭が言葉を理解すると同時にそのイメージが頭の中に浮かび上がってきたのだ。
恋愛対象は女性だ。男ではないし、今まで男をそんな目で見たことなんてない。なのに勝手に浮かび上がったイメージに虎杖は慌ててそれを振り払った。
「な、んで…」
動揺する虎杖に五条は臍と下生えギリギリを指で上下に撫で這わせながら何故と聞く悠仁に答えた。
「僕はさ、本来我慢はしないタイプなんだ。けど悠仁に関する事なら我慢はするさ。大人だしね」
だけど、悠仁の事はもう我慢しない。
「だから悠仁を全部僕に頂戴」
僕を奥に受け入れて。とゾクリとする程真剣なその雰囲気に虎杖はもう何が何だかと混乱する。1つだけ言えるのは、五条にそんな事を言われても何一つ嫌悪を感じる事はないだけだ。
「ま、待ってよ…先生…」
「無理」
ぐっ、と五条が腰を押し付けると太ももに大きく硬くなっているモノが当たり虎杖はひっ!と短い悲鳴を上げた。
今にも食らい付いてきそうな五条に虎杖は弱々しく頭を左右に振り、解放された片手で五条の胸を押すがやはりビクリともしなくて虎杖は焦る。
「本当にっ…か、考えるから…先生との事…」
だからいきなりは止めて、と切ない表情で懇願すればそこは五条も思う所があったのか少しの沈黙の後に分かった、と頷いた。
ホッとしたのも束の間で虎杖はまた五条の言葉に驚き目を見開いた。
「明日までに返事を頂戴ね」
「は?明日…?!!」
思わずガバッと半身を起こせばニコりと効果音が付きそうな笑顔で五条は当然でしょ?と笑う。
「言ったよね、僕は悠仁の事は我慢しないって」
固まる虎杖を抱き締め、だから今夜は何もしないけどこのまま一緒に寝ようね、この一晩でよく考えて。と性急な要求に虎杖は目を点にするしかなかった。
*
抱き締められたまま、横になっているがこんな状況で眠れる訳がない。先程五条との事を考えろと言われたばかりだしその本人と一緒に眠るなんて到底出来る訳がないじゃないか。
騒ぐ心臓に固く身動き出来ずにいる虎杖に何を思ったのか五条が徐に未だ硬いままのモノを押し付けた。
「先生…?!」
さっき何もしないって言ったじゃん!と五条の腕から抜け出そうとすれば虎杖を抱き締める腕に力が加わって虎杖を逃がさない。焦る虎杖に五条は吐息だけで笑うと顔を寄せて目元を紅く染めた大きな目をじっくりと見つめる。
悠仁からは目隠しで見えないけれどその目が愉しそうに弧を描いているのが知れた。
「何もしないけどさ、これ一人で抜くのって寂しくない?」
このままなのは男として凄くツラいって分かるでしょ。だから悠仁が抜いて?と首を傾げる大の大人に虎杖は戦慄く。
一気に進め過ぎじゃないだろうか、それは。
「む、り…」
そんなこと、出来ない。
だって自分だって余り自慰行為をしたことなかったのにそれも他人のを、況してや担任の一物を頑張って扱ってられる自信はない。
性について興味がないと言ったら嘘になるが淡白な方だと自覚している。
出来ない、と首を振れば五条は悠仁の手を掴み硬くなっている自身へと導いて触れさせる。
ビクリと身体を震わせた虎杖は反射的に手を引こうとしたけれど五条がそれを許さず、掌にドクドクッと脈打つ大きなモノに目を見開いて羞恥の余り涙が滲んで潤ませた。
「悠仁の事、考えているだけでこんなになるんだよ?」
小さく震える手をゆっくり上下に動かすように誘導しながらどんなに昂っているのかを分からせる。
パンツの上からだし快感とは程遠いものだけど悠仁の手がそこに触れていると思うだけで五条は息を熱くさせる。
はぁ…っ、とうっとりしたような五条の声に虎杖は顔を五条に向ける。汗はかいてないが虎杖の手が動く度にゴクリと喉仏が上下に動いて息を吐くのに次第に虎杖の思考も鈍っていく。
「せ、んせ…」
いつの間にか虎杖を誘導していた五条の手は離れていてぼんやりしたままの虎杖が自ら五条のモノを上下に撫でていた。
まるで夢心地のような気分で五条を見上げれば嬉しそうに微笑んでいた。
そんな五条の顔を見ただけできゅん、とこっちも嬉しくなり手を忙しなく動かせば覚束無い手付きでもイイのか五条の口端がピクリと反応した。
「は、っ…悠仁…」
気持ち良さそうに息を僅かに乱す五条が虎杖の耳裏に鼻を突っ込むとスンスンと僅かな汗と太陽の匂いを嗅ぎ齧り付きたいのを我慢して舌を這わせると強く吸い付く。
「ひっ!や、そこ…!」
体をゾワゾワと這い上がる何かに虎杖が体を跳ねさせて五条を撫でていた手が止まる。耳の後ろから顔を離すと五条は妖しい雰囲気に呑まれて表情を変えつつある虎杖の耳元にここには二人しか居ないのに秘密を教えるようにそっと囁いた。
「ね、悠仁。直に触って」
ふるり、と震えて虎杖は五条を見つめる。
大きなその目は潤んでいて奥を覗き込めば熱く燃えていた。嫌悪なんて1つも見受けられず五条はうっそりと笑みを浮かべる。
ジッパー下ろして、と言えば拙い動きで虎杖は言われた通りに金具を指で摘むとジジジッ…とジッパーを下に引き下ろす。その音だけで心臓が忙しなく動き頭の中にモヤが掛かる。
いい子、と五条が汗ばむ額にキスすればンっ、と甘い声が上がる。
完全に下ろすと、今度は取り出して触って。さっきみたいに可愛がってよ。と口にすれば躊躇するようにその目が揺らいだ。
「悠仁」
躊躇うその目に一言名前を呼べば息を詰めて恥じらうようにその目をそっと伏せる。
その一連の表情を見下ろして穢れの知らない花を食い散らかしているような錯覚を覚えて五条は優越に震える。
けれどそうだ、この子はまだ15歳なのだ。まだ蕾で花を咲かせるにはまだ程遠い。けれど花を咲かせるまで待てるつもりはない。待っている間に大事な蕾を咲かせる前にまた奪われてたまるか。
ならば蕾のまま食って、己の腹の中で花を咲かせる。
「悠仁、触って」
「…ごじょうせ、んせ…」
躊躇していたその目がトロリと蕩けて綻ぶ。
下着の中で窮屈に収まっていたモノを恐る恐るゴムの所を指で伸ばし五条の手よりも小さな手がそれに触れた。
ドクドクと脈打ち、筋を浮かばせて触れる度にピクンっと反応して手の中で更に大きくなるのに虎杖は目端に溜まった涙を頬に滑らせる。
指を滑べらせれば先っぽから流れる先走りがにちゃっ…と虎杖の手を濡らした。いやらしい音にびくりと肩を震わせてしかし手は止まらない。
まるで催眠に掛かったかのように手を離すことが出来ない。それは五条がフーッ、フーッ、と獣のように気持ち良さそうに唸っている所為もある。けれど一番の理由はいつも余裕な五条が浮かべるその表情を見ていると虎杖までドキドキしてもっと見ていたくなるのだ。
「ぁッ…先生、」
五条を見つめていたらモジモジと膝を擦り合わせたらいつの間にか自分のモノも首を擡げ硬く勃ち上がっていた事に気付く。
それに虎杖が目を見開けば五条も気付いたのか、嬉しそうな声を上げた。
「僕の触って、感じちゃったんだ?」
その事実を口にされて恥ずかしくて虎杖は泣きそうに顔を歪めた。あぁ、泣かないで悠仁。五条は虎杖の涙が溢れる目端にキスを落として涙を吸い取り嬉しいよ、と伝える。
「悠仁も一緒に気持ちよくなろう」
喜色ばんだ声音で五条は囁き、虎杖のスウエットに手を掛けた。
END
多分、続く