mikotoの呟き

小説(◆マーク)とお知らせや近況報告

◆ザンスク

【たまには休もう】 

 

 

 

今日のはボスは甘えん坊だ。 

スクアーロは後ろから抱えられながらのんびりと思った。 
何故仕事をサボってボスとこんなにゆったりしているのか…確か先程までは仕事をしていた筈だったのだ。 

はじまりは確か……、 

 


「ルッス、ボスがどこにいるか知っているかぁ?」 

書類を片手にスクアーロは談話室で優雅にアフタヌーンティーを楽しんでいたルッスリーアに訊ねた。 
しかしルッスリーアははて?と小指を立てながら頬に手を当てて首を傾げて分からないと言った。 

「あら。スクちゃんに分からないなら私が知ってる訳がないじゃないの」 
「チッ…使えねぇ」 

今持っている書類はボスがサインしなければいけないものばかりなのに、サインして欲しい当のボスがいつもなら居るのに執務室に居なかったのだ。 
スクアーロはXANXASの気配には誰よりも敏感に反応出来る。 
だからこのVARIA本部に居ることは分かっている。 
だがいつもなら一点の所に確認出来る気配が今は本部全体にXANXUSの気配が散らばって逆に探し難くなっている。 
さっきから探しているのだが一向に見つからない。 
探している途中、下っ端で遊んでたベルや貯金の計算をしていたマーモン、パラボラの手入れをしていたレヴィに(凄く嫌な顔をされたがスルーした)堂々とサボっていたフランにも居所を聞いてみたが見事にどいつもこいつも首を左右に振って知らないと言う。 
最後の頼みとばかりルッスリーアを訪ねたというのにルッスリーアも知らないのならもうお手上げだ。 
スクアーロは舌打ちをしてルッスリーアから背を向けた。 

「まっ!スクちゃんったらヒッドイわぁ~!」 

後ろでキーッとハンカチをギリギリ噛んで湯気を立てるルッスリーアに邪魔したなと言い残してスクアーロは再びXANXUSを探すべく先を急いだ。 
サインして貰わないといけない書類があるというのもあるが、スクアーロはXANXUSに何かあったのではないか心配だつた。 
稀にXANXUSが誰に何も言わずに消えることは過去何回もあった。 
そうゆう時は何かしら嫌な事があったり塞ぎ込んでいる時が多かったから今回も何かあって姿を消しているのではないかスクアーロは考えて必死に探している。 
XANXUSは誰よりも強いし負ける事はないだろうがVARIAのボスなのだ、いつどこで命を狙われているのか分かったもんじゃない。 

強くても万が一の事があってからでは遅いのだ。スクアーロが行って何か出来る訳じゃないがただXANXUSの姿を一目見て安心したかった。 
XANXUSの強さと実力は誰もが知っている事。今更心配する必要はなく、逆に力の差も分からずに挑んできた愚かな相手を皆心から可哀想に…と同情するだろう。 
しかし分かっていながらもスクアーロは強いXANXASを心配する。 
いつもうるさく周りに気を付けろだの、出掛けるなら護衛に俺を連れてけ等とXANXASに対して昔から口を酸っぱく言うのだ。 
XANXASはそんなスクアーロに対して下らない、と切り捨てるが誰にも言わず消えてしまうとスクアーロは怒るよりも先に泣きそうな顔でホッと胸を撫で下して安心して微笑んで無事で良かった、とXANXASを抱き締める。 
誰よりも強いと言いながらスクアーロは誰よりもXANXASを過保護までに心配して身を案じる。一時でも姿が見えないとなると落ち着かずわざわざ殴られに行く程だ。 
無意識だろうがスクアーロはXANXUSが戻った今でも揺り籠の事を気にしているのだろう。それも当然だ。あれでスクアーロはXANXUSを8年という長い間失われたのだからトラウマといっていい。忘れる筈がないのだ。 
だからなのかスクアーロはXANXUSを一日に一目顔を見ない事には一日が始まらない。 
今日はまだ一回もXANXUSを見ていない。顔を見ていないだけでこんなにも心が騒めく。任務の時は平気なのに居ると分かってて姿が見えないのはスクアーロにとっては苦に等しく我慢させられている事と同じだった。 
執務室、談話室、寝室、中庭、トレーニングルーム、地下、拷問室(ドキドキしながら覗いて入ったが何故かXANXUSが居なくてガッカリしたのは秘密だ)とあの男が行きそうな所を広いアジト全体探したが何処にも姿が見当たらなかった。 

ならばXANXUSはどこにいるのか…スクアーロは段々と不安を積もらせる。 
やっぱりボスに何かあったのではないか…? 
はやる気持ちを抑えてスクアーロは頭を回転させた。 
まったく…あのクソボスは一体どこへ行きやがったんだ…気配はそこら中に感じるというのに本人が見当たらないとは遊び過ぎにも程があるだろうが…!! 

しかしスクアーロは急にハッと思い至った。 
探していなかった場所が一つだけある事に。 
考えるよりも先に体が動き書類を放り出すと走り出した。 

 

「見つけた…」 

XANXUSの寝室の奥バルコニーの下、木々に生い茂られた茂みに男は匣から出したベスターのお腹に背を預けて眠っていた。 
その僅かな木漏れ日から差す光に照らされながら心地良さそうにぐっすり眠っている所を見下ろしてスクアーロは反対に一気に疲れが出たようにぐったりした。 

「…こっちの気も知らねえですやすや呑気に寝やがって…」 

此処ならば誰も居ないしボスの寝室付近ということもあって余程の用がない限り幹部でも立ち入らない場所だ。今は春だがそろそろ夏に近付いている時期で昼間は日差しが眩しく暑かったのだろう、この場所ならひんやりとしてて成程、確かに一眠りするには良いスポットだった。しかしスクアーロはやっとXANXUSの無事をちゃんとこの目で確認出来てホッと胸を撫で下して一息付く。 
こんなにも近付いてるのにXANXUSは目を覚まさない。バルコニーに出て手摺を軽く飛び越えると重力に従って体は下へ落ち、柔らかい芝生に足が着く。 
そのままXANXUSに近付くとベスターが赤い目を開けて首を上げてスクアーロの方を見上げた。 
しゃがみ、ベスターの顔を両手で優しくそっと撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らして気持ち良さそうに目を閉じて優しい手に自ら撫でてと擦り寄る。 
もっと撫でろと催促するベスターをスクアーロはふっと小さく笑って微笑んで要望に応えてやった。充分に撫でてやってから視線をベスターから未だ目を閉じている男に向ける。 
こんなにも肩が触れるくらいに近くに居るというのにまだ無防備に眠って起きないとは…。敵だと認識されてないのか、はたまたベスターが居るから気にしてないのかどっちなのかは分からない。どのみちXANXUSが何の事件や事故に巻き込まれておらず無事ならば何でも良い。風にそよぐ黒髪に手を伸ばしそっと撫でて遊ぶ。 
やはり良いシャンプーを使ってるお陰で柔らかい髪質で触り心地が良い。 
指を髪から細いシャープを描く頬へ滑らせスクアーロは古傷が浮かぶ頬にそのまま顔を近付けて軽くキスをした。すると待っていたかのようにスクアーロの後頭部を押さえる手が。言わずもXANXUSの大きな手だった。 
手は僅かに動いて上手く誘導し、頬にキスしていたスクアーロは誘導されるがままに厚い唇とキスを交わした。 
スクアーロはXANXUSが起きた事に髪を撫でた時に気がついていた。 
だから後頭部を押さえた手に驚かず誘導されるままキスを交わして戯れた。 
僅かに開いた口の隙間を逃さず狙いXANXUSの舌がスクアーロの口内へと滑り入り奥に逃げて縮こまるスクアーロの舌を絡め捕えた。XANXUSの舌の熱さにスクアーロの肩がびくりと震えて縋る。 
強弱をつけて吸うとスクアーロは余りのその刺激に感じて体をXANXUSに押し付けて鼻に掛かった甘い声を漏らした。 


「んっ…ふ、っ…」 

一分にも満たない内にスクアーロは既にXANXUSによって翻弄され腰が抜けてしまってちゃんと座る事もままならずXANXUSに体重を掛けて寄り掛かってしまっている。 
雪のように白かった頬が薔薇のように紅く染まり息もままならぬ口付けに苦しそうに眉間に皺を寄せて快感に閉じられた目にびっしり生えた白い睫毛がふるふると震えている。 
閉じていた目を開けてXANXUSはその様をじっくりと至近距離から見つめた。痛みにはめっぽう強い癖にスクアーロは本当に快感に弱かった。 

それを教えたのは他ならないXANXUSだ。 
出会ってから一ヶ月経って直ぐに手を出したからな。8年ものブランクはあれど目覚めてからは大体腹いせに、時には持て余す体内の炎にもがいて逃げ場所に何度も抱いていて10年経った今でもスクアーロ以外を抱くつもりはなかった。 
10代の時点で既にスクアーロの身体はXANXANによって調教されてしまっている。ベットでは滅多に呼んでやらない名前を何度も耳元に囁くもんだからからかうつもりで通常時仕事をしていたスクアーロの背後から忍び寄って耳元に息を吹き掛けて名前を呼んでやったら甘い声を上げて腰を抜かすとイってしまった。 

これには流石のXANXANも紅い目を見開いて驚いたがそれ以上にスクアーロが唖然と呆気に取られた表情は相当面白かった。しかしその後スクアーロは今にも泣きそうになりながらお前なんて身体にしてくれたんだよ…!とXANXANをひどく責め立てて3日間自室に引き籠ってしまって大変だった。 
XANXANがそうなるように今まで手を抜くことなく抱いてきたのだ、感じてしまうのは当たり前だろうと言えば納得してくれて自室から出てきた。 
ヴァリアーの№2になる程の頭脳を持ち合わせていながらXANXANの事になると頭が弱くなるなんてなんという単純で可愛い奴なことか。 
二人が些細な言い合いから喧嘩をして口をきかない時にセックスをしてしまえばスクアーロはぐずぐずに蕩けて喧嘩の事など忘れてXANXUSを自ら強く求めて流されてしまうのだ。悪くもないのに悪かったと謝ってそこで二人の喧嘩は終止符を打つ。 

都合が悪かった時は無理矢理にでもセックスをしてしまえば全てが丸く収まった。だからなのか三十路になった今でも未だにXANXANは謝罪を口にした事がなかった。まず謝るという事態がない。スクアーロもXANXUSが謝る事を望まない。 
XANXUSが謝った時には明日は世界の終わりなのかぁ…?!と遠慮なく宣うのだろうから二人はそれでいいのだろう。 
長い口付けにそろそろ酸素が足りなくなってきたのかスクアーロが胸板を押し返す。 
まだ全然スクアーロの口内を味わっていたかったがひとしきり舐めつくしてからXANXUSは大人しく離れた。二人の間を銀の糸がつー…っと吊り橋が出来るのを見つめて肩で息を吐くスクアーロを見下ろすと潤んだ銀の目が怒った風を装ってXANXASを睨んだ。 

「狸寝入りなんて趣味悪いぞぉ」 
「ハッ…気付かねェてめーが悪い。オレの所為にするンじゃねーよ」 

XANXASは鼻で笑ってピンッと軽くスクアーロのおでこを指で弾いた。 
軽くといってもXANXASの軽くはけして軽くはなく痛ェ!とスクアーロは弾かれたおでこを押さえて不満たらたらで口を尖らせた。 

「ならよぉ…何でこんな所で寝てたんだよ!探そうにもそこら中にボスの気配が散ってて探すにも苦労しておかげで探し回ったぞぉ!!」 

ぶつぶつ怒りつつもXANXASにどこか怪我がないかペタペタと頬や胸、腕にお腹、脚などに所々触れて自分で確かめる。XANXASは気が済むまでスクアーロの好きにさせながらグイッと引き寄せると同じようにベスターの腹に寝そべさせた。 
抵抗もせずされるがままに寝そべるとXANXASを下から見上げて見つめた。 
その視線に仕方なさそうに、ひどく面倒くさそうに溜息をこぼして答えた。 

「別に…何かあった訳じゃねェよ。下らない書類とばかり見つめ合うのに疲れて少し寝たかっただけだ」 

本当に? 
スクアーロは男が嘘を付いていないか目を細める。そうするとまるで猫が獲物を見定めるかのようにスッと中心が細くなって心の奥を見透かされるようだ。 
疑い深い腹心の頭をわしゃわしゃと犬にするように撫でてやると傍迷惑な顔をされた。せっかく可愛がってやったのになんて可愛くない部下だ。 
他の部下みたく男の言うことに二つ返事で頷けばいいものをこのサメは何かしら気に入らなければ直ぐに逆らって刃向かって吠える。 
まったく気に入らないがSi.と大人しく言うことを聞く従順な犬など面白くないし求めていない。このサメはプライドが高く自分よりも弱い者に対してどんなに偉かろうが腐る程の金があろうが見向きもせず自分に素直で飾らない姿勢を気に入ってるのだ。 
その名に相応しく正に傲慢な鮫!! 
しかし言うことを聞かないと力ずくにでも従わせたくなるのだから一体何をしたいのか自分でも分かりやしない。従順で訓練された犬よりも主を退屈させない野良犬が余程良い。 
だが余計な事を吠える犬には躾が必要だ。何度躾ても学習しないのかこのサメは何度だって繰り返す。今更手放せる事なんて出来やしないから仕方なく諦めた。XANXASを諦めさせるなんてスクアーロはある意味凄いのだろう。 
仕方ない、こんなのを好きになってしまったのだ。今更だ、それこそ…。仕方ない。 
自分で乱した髪を手櫛しで直してやり背中に腕を回して抱き締める。 
されるがままなのを良いことにサラサラの流れる髪を掻き分けて首筋に鼻を突っ込んで埋めると僅かなシャンプーの香りと共にスクアーロ自身の匂いがする。女みたく汗を気にして香水を付け過ぎたうるさい匂いではなく自然なスクアーロの匂いは雨の香りがする。 

密着しなければ分からない程の僅かなものだ。そのままそこで落ち着いているとスクアーロが体の力を抜いてくったりとXANXASに凭れて深い息を吐いた。 
ベスターに寄り掛かりながら二人は心地良い微睡みに誘われて静かな時を過ごした。 

 

 

そうだった。 

スクアーロは何故仕事をサボってこんなにものんびりとしている理由を思い出した。 
大事な書類の事も思い出し未だに大の男を抱き締めている今は機嫌が良い主をチラッと振り返る。視線に気付いていながら主は相変わらず目を閉じたままだ。昔から惹かれてやまない紅い目が見えなくても主は本当に男の自分でも見惚れるくらいにセクシーだ。なんて良い男なんだ!思わずうっとりしてしまう。 
しかしスクアーロはこれから切り出さなければならない話に溜息を吐いてうんざりした。 

「ボスさん」 

呼ぶとうっすらと紅い目を開けて鋭い視線が見下ろしてくる。それを確認して紅い目を見つめながら重くなる口を仕方なく開いた。 

「縁談の話が来てる」 
「お前にか」 
「茶化すなぁ、ボスにだ」 
「……で?」 

特に興味もなさそうに先を促すのにいささか腹が立つが気に留めない事にした。せっかく重い口を開いたのにそれだけかよと怒りたくもあったが溜息を吐いて気持ちを落ち着かせた。 

「……だからどうすんだ?期待してる相手に返事しねーといけねェんだからよぉ」 

拗ねてそっぽを向きながら言うスクアーロを珍しいおもちゃでも見つけたように面白そうな表情で見下ろしたXANXUSがクッ…と笑った。 

「お前はどうしたい」 

憮然とXANXUSが言うのにスクアーロは唖然とした。この男は俺の答えを聞いてどうするというのだ。それともこちらの反応を見て面白がっているのか。 
こちらの答えなんて当に知れているというのに、最愛の男を殴りたくなった。 
殴りたい程好きになってしまった事を心底恨みたくもなった。けれどこの男の為なら自分の命を投げ出せる程、心底好きなのだ。なんて達の悪い男なことか!! 

「……縁談がきてるのはオレじゃなくてボスだぞぉ」 
「聞いた。だからお前にどうしたいかを聞いている」 

オレが嫉妬するのを面白がってからかいたいというのか。それともオレが縁談の話を受けろと言えば大人しく受けるというのだろうか。 
いや、それはない。男が大人しくオレの言う事を聞く訳がない。 
ならやめろと言えば良いのか。いや!それもちょっと違うような気もする。面白がってオレから主を奪い去る女に嫉妬する様を見たいが為に話を呑むかもしれない。オレが嫌がる姿を見て喜ぶ生粋のサディストなのだ、この男は。そういう男なのだ。 
だからと言って主に嘘も言いたくない。思い悩み、スクアーロは正直に言うことに決めた。 

「オレがやめてくれと言ったら断ってくれるのかよ?」 
「お前次第だ」 
「ふん、言ったな?なら断ってくれよ。アンタはオレのボスなんだから」 
「……ボスだから断るのか」 
「…いや、オレの男だから」 

その答えに満足したのか、XANXUSは小さく笑うと犬を褒めるようにスクアーロの頭を遠慮なく髪が乱れる程にぐちゃぐちゃに撫でた。スクアーロはされるがままXANXUSの好きにさせた。大好きな男の手だ、振り払う理由も拒む理由なんてない。 
上機嫌なXANXUSを見上げるとこれは縁談を吞まないという事だろう。もしやサディストな男がスクアーロをいじる為に何でもする事から縁談を呑むかと思ったが、そう言えばこの男は独占欲が酷く強かったのだ。 
束縛も酷いから同じくらいに相手からの想いを求める。幼少期の頃の扱いでXANXUSは愛というものに敏感でもっとも無償の愛を信じてない男だった。 

けれど傍にいるスクアーロが⒙年の年月を掛けて存在そのものでXANXUSに無償の愛というものを認めさせた。だからXANXUSはスクアーロの重いともいえる愛を受け止めた。だけどスクアーロはXANXUSの為なら簡単に命を投げ出す。その事を何かある度に責めるとスクアーロは耳が痛いようで大人しくなる。一番に信用してるのにXANXUSは心底信じられないでいた。 

仕事が仕事なだけにいつ死ぬか分からない。いつまでも無事に生きて帰って来られる訳ではないのだ。未だに現役だからVARIAは今も最強部隊と謳われているがずっと続くとは限らない。XANXUSは、だからスクアーロは今出来る限りお互いの為に時間を大切にしている。そう簡単にくたばる二人ではないけれど。 
それに二人は揺り籠で8年も離れてしまったのだからその時間を埋めるかのように二人は共に行動する事が多い。仕事であったら傍を離れるが何もなければ離れることを嫌がった。 
普段スクアーロ容赦なく殴って蹴って犯して口では邪険にするXANXUSだけどスクアーロの事が気に入っているし好きなのだ。じゃなかったらスクアーロは既にここにいない。剣だけの力を認めていただけなら寝室にすら近寄らせないだろう。既にスクアーロは居なくてはならない存在となってしまった。お互いに。 

「…じゃあ縁談の話は断ってもいいンだな?」 
「あぁ、断っとけ。いや、オレが直接言う。てめぇは大人しくしとけ。間違っても結婚しろとほざきやがったらかっ消す」 
「言わねぇよぉ」 

ギロッと凄むXANXUSにスクアーロは軽くキスをして宥めた。 
本当はちゃんと女と結婚して子供とか作って温かい家族というものを知って欲しかったが…男の自分を抱いた所で互いの快感以外何も生みやしない。母親から狂った愛しか与えられず9代目には偽られ、裏切りを与えられた。 
何故XANXUSがこんなにも辛い思いをしなければならないのか、スクアーロは苦しく思う。この男が闇の世界に君臨してるのは幼き頃から絶え間ない努力をしたからだ。なのに何故この男を心底愛そうという者がいない。 
なんて、なんて酷い世の中だろう!ならば自分が愛に飢えたこの男の為、喜んでその燃え盛る腕に身を焼かれよう、愛をいくらでも声枯れるまで叫ぼう。 


オレはどこの馬の骨かもしれない女にこの男を渡す気はもうない。 


この男を一番愛しているのは自分だから。 

 

 

End