mikotoの呟き

小説(◆マーク)とお知らせや近況報告

◆総督×ポニ方

※ポニ方さんはショタです。

 

 

 

陣営の寺で、 四天王と呼ばれる高杉達四人は縁側で月を眺めながら無事帰って来た祝いを開いていた。

 

それぞれお猪口に酒を注いで盛り上がる四人
。いや、盛り上がっているのは阪本と銀時だけだが…。

銀時と阪本は大きな声を上げてやれ俺の方がテクニックあるだとか 、やれ俺は保健体育5だったとか騒いでいる。

高杉はただ黙って酒を飲み続け、 桂は騒ぐ銀時と阪本を全力で落ち着かせようとしているが桂も相当呑んでいるからか、全く収集が着かない。

 

そんな四人の所に近付く者が一人。

高杉は近付く気配に気付き、 後ろを振り返るとそこには二年前森でさ迷っていた所を保護してそのまま連れてきた土方が立っていた。

 

「……総督、」

 

浮かない顔して高杉を求める土方に銀時達も気付くと銀時はからかいの含んだ表情で口端を上げた。

 

「どしたぁ、ちび!夜が怖くて寝付けねーのか~?」

「ムッ…ちげーよ!」

 

銀時のからかいの言葉にカチンっと頭にきた土方は声を荒げて否定するも、浮かない顔はそのままだ。

高杉は土方のその表情に見覚えがある。その理由を知っているからただ手を伸ばして土方を呼んだ。

伸ばされた手を見つめて土方も手を伸ばすと小走りに高杉に走り寄って刀を握り締めて硬くかさついた、しかし暖かい手を握り締めた。
握り締められた手を握り返して高杉は土方を片腕で抱き上げると立 ち上がる。

 

「何だ、寝るのか?」

「あァ、俺らはもう寝る。残りの酒はお前らで呑みな」

 

そう言い残して高杉は土方を抱き上げたまま銀時達に背を向けると その場を去っていく。

その背中を銀時達は見送った。


「…随分とご執心なこって」

「仕方あるまい、あれは心許されると弱い男だからな」

「アッハハハハ~、まっこと可愛い性格しとるぜよ!のぅ、金時~ !」

「金時じゃねーっつってるだろ!」

「アッハハハハ~!!」

「聞けよ!」


後ろで騒いでいる銀時達の声を聞きつつ、 高杉は土方の様子を見て自分の部屋に急ぐ。

部屋に着くと襖を閉めて既に用意されていた布団の上に土方を下ろ して高杉も腰を下ろした。
すると直ぐに土方は高杉に抱き付いて胸元に顔を埋めると小さな声 を上げた。

 

「…晋助」

「どうした」

 

高杉は柔らかな声音で問い掛けながら土方の髪紐を解いて背中に流れる髪を撫でて自らも目前の小さな体を抱き締めた。

高杉の匂いに包まれた土方は安心して体の力を抜いて体を高杉に預ける。

 

「十四郎?」

 

何も発しない土方に高杉は再度促す。
すると土方は迷った末、高杉に胸の中の不安を打ち明ける。

 

「…兄上の夢を見て、」

 

その言葉を聞いて高杉は土方が何を思って浮かない顔をしていたのか確信して、 今も自分を責めているであろう小さな体を抱き締めたまま一緒に布団の中に入る。

お互い向き合うように横になりながら高杉は土方のおでこに自身のおでこをコツンとくっ付けた。

 

「バカ、お前の為所じゃねェって何度も言っただろう?」

「………」

「ったく…お前はまだ子供だったンだ、弱くて当たり前だろ。 弱い自分が許せないなら弱い自分を越えて強くなれば良い。簡単だろ?」

「晋助…」

「お前は強くなるよ。俺が言うんだ、だから俺の可愛い十四郎の笑った顔を見せてくれ」

 

高杉が土方にしか見せない顔で言うと、 土方は目を涙で濡らしながらも小さく頷いて微笑んだ。

高杉はやっと笑顔を見せた土方にキスをすると苦しくないよう強く抱き締めて寝る体制をとって囁いた。


「…今度は俺の夢を見ろよ」

「うん…」

 

照れて頬を紅く染めさせながら土方は嬉しそうに頷いて高杉の首筋 に擦り寄った。

 

「おやすみ、晋助」

「おやすみ十四郎」

 

 

end