mikotoの呟き

小説(◆マーク)とお知らせや近況報告

◆煉炭

 

瞼が重い。体が言うことを聞かない。

まるで金縛りに遭ったかのように炭治郎の体はピクリとも動かず、意識も朦朧とし始めた。

 

その時、

 

「竈門少年」

「…煉獄、さ…ん…?」

 

昔に、聞いた事のある忘れたくない声音が炭治郎に降り掛かった。

重かった筈の瞼がその声に応えるかのように徐々に持ち上がって炭治郎は目を開いた。そこには、会いたくて堪らなかった、守りたくても守れなかった、年を重ねてもいつまでもその背中を追い掛け続けてた、かの人…煉獄が見下ろして居るではないか。

 

炭治郎は驚きに赤い目を見開き、反射のようにポロポロと目端から涙が溢れ落ちていく。

 

「煉獄さ、んッ…?」

 

未だに信じられなくて恐る恐るといった風に炭治郎が再び呼び掛けると煉獄は笑みを浮かべてしゃがみ込み炭治郎の顔に覆い被さって口を開いた。

 

「あぁ!久方ぶりだな、竈門少年!」

 

あぁ、やはり…煉獄さんだ!!!

 

炭治郎は動かなかった体が嘘のようにガバッと起き上がるとその勢いのまま煉獄にかじりついた。その勢いに煉獄はおぉ?と驚きながらもその口許は笑みを浮かべたままで炭治郎に押し倒されたような形で後ろに倒れた。

 

「煉獄さん、煉獄さん、煉獄さん」

 

もうどこにも行かせまいと煉獄の服をぎゅっと握り締めて首元に顔を埋め言葉を忘れたように何度も煉獄の名を口にする炭治郎の背中を撫で擦りながらも煉獄は空が広がる景色を見上げた。

 

「少年、俺はどこにも行かんよ。ここに居る。君は俺の腕の中に居る」

 

だから、もうそうなに泣くんじゃない。

 

煉獄は優しい声音で言いながら嗚咽を上げて体を震わせる炭治郎を抱き締めてやった。

 

 

 

「君を迎えに来た」

 

 

 

 

 

◆煉炭

 

夏休みの真っ只中、中高キメツ学園の2階にある資料室の一角でPCに向かいながら歴史の授業で使うプリントを制作してるのは歴史の担当である煉獄杏寿郎だ。

 

夏の日差しを浴びる金色の髪が日差しの向きが変わる度にキラキラと輝き、赤い髪の所は柔らかく輝く。

 

首元までしっかりとボタンが留められてネクタイも締め、ネクタイが動くのを防ぐためのネクタイピンがキラリと艶を出す。

この部屋には冷房はあるのだが煉獄が余り冷房を好まず部屋の窓を全開に開けただけで時折そよぐ風が入ってくるだけだ。

裾を折って巻いた剥き出しの腕が汗で少し湿っていたが本人は微塵も暑さを感じさせず涼しげな表情でタイピングしている。

 

その後ろには煉獄のお腹に腕を回して引っ付き抱き付いている子が一人。

この学園の生徒で真面目な性格でどっちかというと優等生に分類されるのだが父の形見の花札のようなピアスを頑なに外さず着用してる事から風紀委員の人達からは不良と見なされている2年生の竈門炭治郎だ。

勿論、不良のように他人に暴力を振るったりカツアゲなどはしていない。中等部にいるフランスパンを加えた妹を溺愛する心優しい長男だ。

 

資料室にはソファーがあり、その前にテーブルもあって煉獄はそこにPCを置いて仕事をしていた。炭治郎はソファーと煉獄の間に入りその大きく広い背中にもたれ掛かっていたのだ。

夏にも関わらず隙間もなく密着する炭治郎に否を唱える事もなく煉獄は作業を続けている。炭治郎も暑い筈なのだが離れようとは思えずかれこれ数時間はこの状態が続いていた。

 

時計の針が14時を指した所で煉獄は顔を上げるとPCを閉じた。

 

「竈門少年、暑くないか!」

 

背中にいる炭治郎に問い掛けながらお腹に回された手に手を重ねる。

炭治郎はぎゅっと更に強く密着しながら大丈夫ですと答えた。暑いのだけど、そんな事で離れるのはまだイヤだった。

 

炭治郎がまだ離れたくないと感じ取った煉獄は小さく笑みを浮かべると体を捻って炭治郎を振り返り見下ろした。

 

「そんな背中にばかり顔を押し付けてると顔が見れない。前においで」

 

誘うと炭治郎は一度腕を離し、煉獄の脇の間から頭を出すとそのままいそいそと煉獄の膝の間に座り今度はお腹ではなく首元に両腕を回して密着した。

炭治郎の背中に手を添えながら煉獄は体を後ろに倒しソファーにもたれてると深呼吸を1回してリラックスする。

腕の中の重みが愛しい。体に腕を回して抱き締めると空かさず抱き返してくるのが堪らなかった。

 

煉獄には前世の記憶がある。大正時代の時の記憶だ。人を喰らう鬼という者が存在し、その鬼に対抗する為に鬼殺隊という組織が尊い命をかけながら闘っていたそんな時代だった。

そして自分が鬼殺隊という組織に入り最高位の剣士しか名乗れない柱になっていた事、上弦の三の鬼に腹を貫かれて命を絶った事も、覚えている。

 

煉獄の最期を見届けたのは、炭治郎だった。

勿論、その事も覚えている。泣き顔よりも笑った顔が見たいと、遠退く意識の中で思っていた事も全て鮮明に覚えている。

この時代で炭治郎と出会った時、炭治郎は記憶を持っておらず覚えていなかった。

 

煉獄はその方が良いと喜び、教師と生徒として接してきたが不思議な事に前世で関わった者たちは何の因果かこの学園に集まっていたのだ。だから前世の時に自分の腹を貫いた上弦の三の鬼である猗窩座も、この学園にいる。

前世は前世だ。鬼の存在は今はもう居らず少年たちが鬼舞辻を葬った事を表していた。だからもう人が鬼に喰われる心配もなく平和な時を刻むこの時代に煉獄は大いに喜んだ。やはり自分が信じた少年たちは立派に責務を果たして全うしたのだ。

 

前世で猗窩座に殺られたが煉獄は気にしていない。相変わらず勝手に呼び捨てにするし空手部に勧誘してくるしつこい男だが鬼ではないし人間を食べる事もない。鬼ではなく人間として生きているのだ、彼も。

価値観はやはり合わないから嫌いだがもう、何も気にするような事はない。

 

煉獄はそう思っていたのだが炭治郎は違ったようだった。いつものように教師として炭治郎の質問に答えいたら懲りずに現れた猗窩座を見て炭治郎が大正時代の記憶を思い出してしまったのだ。

涙を流し猗窩座から煉獄を遠ざけて近付くなと威嚇するのに煉獄は悲しくなったのを覚えている。悲しい記憶は思い出させたくなかったのだがもう遅かった。炭治郎は煉獄に抱き付きいつまでも涙を流して守れずごめんなさいと謝った。

もう過ぎた事だと、気にするなと伝えたが炭治郎はいつまでも気にするのだろう。けれど今と昔は違うのだと理解しているみたいだから猗窩座を敵として見なしていないが生理的に嫌いではあるらしい。

煉獄に近付く度に忠犬のようにガルルルッと威嚇する姿は本人に失礼だろうが愛らしい。

 

もとより煉獄は大正時代の時から炭治郎を好ましく思っていたのだ。目指す目的に向かって全力な姿勢は好ましく、無限列車の時に短い一時だったが妹の為ならどんな苦難も乗り越え仲間のために思いやりにかけた炭治郎は煉獄には眩しく暖かかった。

猗窩座に会って以来煉獄に引っ付くようになり煉獄しか頭になかった炭治郎と好ましく思っていた二人が好き合うのは時間の問題だった。

 

頭ではもう危険に脅かされる事はないと理解していても体は煉獄から離れる事をよしとせず駄々を捏ねる子どものように抱き付くクセがついてしまい、今に至る。

 

授業中は流石に抱き付く事はないが視線はいつまでも背中を追っていて煉獄はこんなにまで想われる事が嬉しくくすぐったかった。

前世の記憶を思い出してしまったのはやはり悲しいが炭治郎は思い出して良かった、貴方を思い出せてホントに良かった!と煉獄に言うから煉獄も嬉しかった。

 

「煉獄さん、お仕事は終わったんですか?」

「うむ、一通りは終わった!」

 

終わったと伝えるとパッと起きた炭治郎は嬉しいそうに煉獄を見つめた。

 

「では一緒に帰りましょう煉獄さん!」

 

昔のクセでか炭治郎はよく"先生"ではなく"さん "で煉獄を呼んだ。今もまだ学校だから先生なんだが煉獄はあえて何も言わず炭治郎の頭を撫でて頷いた。

 

「あぁ、一緒に帰ろう!」

 

 

 

 

 

 

 

◆煉炭♀(R18)

 

 

呼び掛けてくる優しい声がする。

炭治郎は身をよじった。もう、朝なのだろうか。

再び声がして、返事をしょうとしたが声が上手く出せず駄々を捏ねる子供のようにんん、としか声を出せなかった。

 

しかしそんな炭治郎の唇に柔らかいものが重なった。甘いそれに何だろう?と思って重たい瞼を上げると太陽みたいに眩しい金色の髪が目に広がった。

そして金と赤に彩られた瞳に見下ろされて炭治郎はふにゃりと笑った。

 

「煉獄さん…」

 

太陽みたいな金色と毛先が炎のような赤い髪、そして鋭い金赤の瞳。高い鼻梁に笑みを浮かべる肉感的な唇…自分に口付けをしたのが煉獄だと気付き炭治郎は起き上がろうとしたがしかし煉獄によってそのままベッドに押し付けられてしまった。

疑問に炭治郎の首が傾ぐ。

 

「煉獄さん…?」

 

そのまま煉獄は体を伏せられて炭治郎の上にのしかかってきてまた唇が重なった。

疑問に思いつつ炭治郎は吸い上げられて舐められるがままに煉獄からの口付けを受け入れた。

 

「竈門少年…」

 

煉獄が唇を離すと普段の彼からは信じられないだろう小さな声で炭治郎の耳元で囁いた。

 

「んっ…」

「おはよう、良い朝だぞ」

 

ぴこっとライオンがもつ薄く丸い耳が動き、朝の挨拶をするにはその声音は低く睦事を囁くような淫靡な響きをもっている。炭治郎は目を見開きおはようございます…と反射のように挨拶を返しながら煉獄の瞳を見上げた。

 

深い、色をしている。

スッと眼が細くなり、光った。炭治郎の鼻が捉えたのは濃い発情の匂い。

 

炭治郎の肩を押さえ煉獄は先程よりも唇をより深く触れ合わせくちゅ、と小さな音があがって炭治郎を震わせた。

 

「ん、っあ…煉獄さん、待っ…」

 

待って、と首を左右に振る。つられて黒い長い耳もぱたぱたと揺れるが煉獄は止まらず口付けを更に深くさせる事にしかならず炭治郎は深く貪られて息が出来ない。

呼吸をしょうと隙間を作ってもまるで呼吸さえも自分のものにするかのように煉獄に吸い上げられて炭治郎は肩を震わせて顔を赤く染めた。

 

「や、ぁ…あっ…」

 

炭治郎の唇に煉獄の舌が触れる。熱い、形を辿って舐めあげられるとぞくぞくと快感が背中から首に掛けて這った。

重なってくる大きな体は熱くて炭治郎は先程捉えた匂いで煉獄が発情期を迎えたことを分かった。

だが、

 

「れ、煉獄さん…待って下さいっ…昨日もシたばかり…」

 

炭治郎と煉獄は昨夜も愛し合ったばかりで炭治郎の体は激しい運動でくたりと力が入らず怠かった。

腰はもう上がらず手足を動かすのにも億劫でまた抱かれるとなると自分は本当に動けなくなってしまう、青ざめた炭治郎に煉獄は顔を上げるとじっと炭治郎を見下ろした。

 

「炭治郎…」

 

名を呼ばれる。熱っぽいその声に胸の奥が震えた。こんな時だけ名前を呼ぶなんてずるい。炭治郎は赤くなる顔を自覚してため息をそっと吐いた。

愛しいとその声音が伝える、受け入れてくれと匂いが教える。拒否したい訳じゃない、自分だって太陽のように強くて優しい煉獄が愛しくて好きなのだ。炭治郎は肩を押さえる煉獄の手にそっと手を触れ合わせた。

炭治郎なりの、これからの行為を受け入れるという了承だ。煉獄は嬉しそうに笑うと炭治郎の唇とまた触れ合わせる。

 

「ありがとう、炭治郎…」

 

濡れた煉獄の舌が炭治郎の唇を割り、やっと呼吸が出来たものの入り込んだ熱い舌が唇の裏側を、歯列を舐め溶かされる刺激に早くも呼吸が出来なくなる。

炭治郎の口腔をまさぐる、先端でくすぐるように、頬を抉るように…弱く強く翻弄するように炭治郎の舌を絡めとってじゅく、と水音が響いた。大きな手が耳を柔らかく撫でる。花札のような耳飾りが音を立てて揺れた。

 

「ん、ふぁ…っ」

 

意識を持ってかれそうな快感に肩を跳ねさせる炭治郎の裸のままの背に煉獄の片方の大きな手が回る。抱き起こされると煉獄は炭治郎の小さな肩に噛みついた。

ライオンの歯は鋭い。鋭い八重歯が肩に食い込み炭治郎は小さく悲鳴を上げて耳が一瞬ビクつきぺたりと伏せた。本能が鳴らす警告を無視して煉獄の頭を抱えた。

 

「あぁっ、煉獄さん…っ…」

 

くっきりと残った噛んだ痕を見て満足した煉獄は手を滑らせて癒すように噛み痕をそっと撫でる。

 

「君の体は本当に良い匂いがするな」

 

薄明かりの部屋の中、金赤の瞳が光り煉獄はちろりと舌舐めずりをして笑った。まるでこれからご馳走を貪り食らう腹を空かせた獰猛な獣の表情に炭治郎は肩で息をしながらドキりとした。

煉獄は自分の事を良い匂いと言うが自分からしたら良い匂いなのは煉獄の方だと炭治郎は思っていた。

 

そう伝えようとしたが、口を開くと同時に口付けられ言葉にならず鼻に掛かった声しか出せなかった。

 

「ん、んんっ…」

 

先程から与えられる口付けに息も絶え絶えになった剥き出しのままの炭治郎の胸を煉獄が掴んだ。炭治郎はひっと悲鳴を上げて顎を引いた。

慎ましくて可愛いな、とくすくすと笑い声を立てる煉獄は小さな胸を掴んでは離し、離しては掴むことを繰り返して愛撫する。

その度に甘い疼きが生まれ、昨夜の行為で疲れてた筈なのに体は熱くなってこれから先に待ち構える快感に期待して震える。

 

煉獄の発情の匂いに当てられたのか、炭治郎は体がうずうずして大きな刺激をもっと欲したい、と頭の中を支配する。

発情期を迎えて我慢出来ない筈なのにゆっくりと焦らすように触れてくる煉獄に歯がゆい思いをして炭治郎は思考が蕩けるのを遠くに感じた。

口付けをしたまま炭治郎は口を開くと煉獄と唇を触れ合わせたまま更なる快感を求めた。

 

「もっと…煉獄さん、もっと…下さい…」

 

熱に浮かされて言うと煉獄の口元は弧を描いて笑みを浮かべた。

煉獄の強い手が炭治郎の腰に掛かった。引き寄せられて反射的に強く引き締まった両足をもうひとつの手が開くとしたたり溢すそこが外気に触れて炭治郎は身を竦めた。

そこに、濡れそぼった熱くて固いものが押し付けられる。

 

「昨夜したばかりだからな、こんなにも濡れているし慣らさずとも大丈夫だろう」

 

ぐい、と勢いよく捩じ込まれる。

いきなりな事に力む壁を押し開き敏感な肉壁を突き上げながら奥へと進む。蜜が溢れ固い屹立を呑み込もうとする。

 

「あ、あぁ…あっ…!!」

 

炭治郎が高い声を上げて背中を弓なりに曲げ強い快感を逃がそうとする。

熱く熟した内壁を固い先端が抉るとがたがたと四肢を震わせながらも炭治郎は甘い声をあげながらやっと得られた大きな刺激に悦んでいた。

 

勃ち上がった煉獄自身がぬめる襞を擦り上げると炭治郎の内部はまるで絡み付くように動き、もっと先を、もっと深みを求めて締め付ける。

 

「はは、凄い締め付けだ…気持ちいいか?炭治郎」

 

掠れた煉獄の声に、炭治郎はきゅん、として胸を締め付ける。

その呼気は荒く、頬から汗が滴り落ちて炭治郎の肌を濡らし掠れたその声に炭治郎を耳からも犯した。

ぶるり、と震える炭治郎の襞を押し広げながら煉獄は腰を進ませて炭治郎?と促した。

 

動く度に声を上げながら炭治郎はこくこくと頷き、赤く染まった顔で絶え絶えになって答えた。

 

「は…は、いっ…気持ち、い……で、す…っ」

 

答えた途端、こりっ、と体の奥にある部分が擦り上げられその刺激が指先にまで痺れを生んだ。全身が痙攣し固く強ばって炭治郎の目を見開かせ生理的に浮かんだ涙がポロっと大きな瞳から溢れ落ちた。

 

「ひぁっ…!!」

「可愛いな、炭治郎」

 

良い所に行き着いたと気付いた煉獄が大きく内壁を擦り上げてその先端が見つけた突起を執拗に押し上げた。

炭治郎の悲鳴が部屋に響く。

 

「あ、ダメ、こんな、ダメ、です…っ…」

 

内壁が尖りきった切っ先に突き上げられる。

一気に引き抜かれ、じゅく、と卑猥な音を立ててしまうが惜しむ間もなく炭治郎は再び穿たれ擦り立てられ突き刺され、良いところばかりを何度も擦り上げられた。

 

「こんなに溶けた顔してダメはないだろう?」

 

深く穿ったまま炭治郎の顎を掴みぐいと引き寄せて唇を合わせる。

 

「ひぃ、あ…っ」

 

口付けをしたまま穿たれそうされると突き上げられる角度が変わって炭治郎は体を震わせて甘い疼きに胸を締め付けられる。

煉獄は深く口付けたまま腰を何度も突き上げてふるふると震えてる炭治郎のふわふわの丸い尻尾を掴んだ。

 

「んんんっ、ん、く…っ!!」

 

悲鳴を吸い取られ塞がれた唇を震わせて炭治郎は身悶えた。尻尾はどの動物にとっても弱点といっていい程弱い場所である。

そんな所を掴まれたら堪ったものではない、尻尾と肌の境目を撫でられぞくぞくと襲う刺激に涙を流しながら身悶える炭治郎を煉獄はなおも攻め立てた。

その固く滾った煉獄自身で突き上げかき回し襞を広げて唇を吸い上げて歯を立て噛み、舌を滑らせて中を抉る。

 

したたる唾液を啜りあげ同時に下肢を突き上げて激しく炭治郎を追い詰めると炭治郎は呻いた。

 

「も、ダメっ……れ、以上、は…」

 

ふっと、煉獄は笑った。炭治郎の体の上に煉獄の熱い胸が重なって抱き締められる。強く抱き締められて温かく、心を和んでくるような快楽に炭治郎も煉獄の背中に腕を回して力いっぱい抱き締めた。

 

「…炭治郎、」

 

煉獄は掠れた、愛しさを込めた声音で炭治郎の名を何度も囁いた。続けて腰を揺すり立てて炭治郎の耳が揺れる程の突き上げを与える。

 

「ひぁ、あっ…っ!!」

 

炭治郎は大きく背を仰け反らせて痙攣する。炭治郎を強く抱き締め、煉獄は二、三度強く突き立て濡れそぼる中に包まれた煉獄自身がひときわ大きく膨らんで炭治郎は目を見開く。

 

「あ、……っ、あぁ…!!」

 

きつく反った炭治郎の体の奥で火傷しそうなくらいの熱が勢いよく吐き出された。

爪先まで仰け反る衝撃に炭治郎は強く太陽のように明るい煉獄の髪に指を滑らせて抱き締めて体を震わせた。

 

「君が好きだ、炭治郎」

 

忙しなく肩で息をする炭治郎の頬に頬擦りして目に溜まって涙を舐めながらキスをして囁く煉獄に炭治郎は目を閉じて答えた。

 

「は、い…俺も、好きです…」

 

 

 

 

 

あの後、熱が治まらない煉獄に付き合い三回程して昼過ぎにやっと解放された炭治郎はもう指先動かすにも億劫でぐったりと寝床にうつ伏せになっていた。

 

そんな炭治郎の傍らで煉獄も寝転び疲れた顔の炭治郎を心配そうに見下ろす。

 

「竈門少年、無理をさせて済まない…」

 

申し訳ないと眉を下げる煉獄に炭治郎は笑って気にしないで下さいと掠れた声で答える。

確かに体は辛いけど発情期を迎えてツラいのは煉獄の方だ。本当ならまだ発情症状は治っておらず今も体に熱が溜まっているだろうに自分が限界だからと途中で行為を止めたのは煉獄だ。

 

番として逆に申し訳ないと感じてるのは炭治郎の方だった。

 

「いえ…俺の方こそ、煉獄さんの方がツラいのに…煉獄さんこそ大丈夫ですか…?」

 

ぱたぱたと揺れる長い尻尾が背中を撫でるのにくすぐったいと思いながら金赤色の瞳を見上げるとその瞳が柔く細められた。

 

「俺の事は気にしなくて良い、大丈夫だ!君のおかげでだいぶ熱も治まった」

 

炭治郎は大丈夫と笑う煉獄を見つめるがまだ鼻が濃い発情の匂いを捉えてる。それに気付いて煉獄は困ったように笑みを浮かべる。

 

「君は俺より鼻が良いんだったな!確かに体は熱いがそれよりも俺は竈門少年が大事なんだ、だから気にしないでくれ」

 

ニコっと頭を撫でられて炭治郎はきゅぅんと赤くなる。こんなにも大切にしてくれる煉獄に炭治郎は切なくなる。 

 

「俺が、」

 

枕に顔を埋めてくぐもった声で切り出すと、煉獄がん?と優しい笑みで先を促すのに炭治郎は目だけ枕から離し煉獄を見つめると続けた。

 

「俺が元気になったら、頑張ります…」

 

最後は小さな声になり、言い終わると同時に炭治郎は羞恥に完全に枕に顔を埋めた。

見えてる耳が赤くなってる。煉獄は目を見開いたが次第に嬉しそうに笑みを浮かべて頭の上でぷるぷると震える毛並みの良い黒い耳を撫でて炭治郎を抱き締めた。

 

煉獄の気持ちを表すかのように長い尻尾がぱたぱたと揺れている。

 

 

 

 END

 

 

◆総督×ポニ方

※ポニ方さんはショタです。

 

 

 

陣営の寺で、 四天王と呼ばれる高杉達四人は縁側で月を眺めながら無事帰って来た祝いを開いていた。

 

それぞれお猪口に酒を注いで盛り上がる四人
。いや、盛り上がっているのは阪本と銀時だけだが…。

銀時と阪本は大きな声を上げてやれ俺の方がテクニックあるだとか 、やれ俺は保健体育5だったとか騒いでいる。

高杉はただ黙って酒を飲み続け、 桂は騒ぐ銀時と阪本を全力で落ち着かせようとしているが桂も相当呑んでいるからか、全く収集が着かない。

 

そんな四人の所に近付く者が一人。

高杉は近付く気配に気付き、 後ろを振り返るとそこには二年前森でさ迷っていた所を保護してそのまま連れてきた土方が立っていた。

 

「……総督、」

 

浮かない顔して高杉を求める土方に銀時達も気付くと銀時はからかいの含んだ表情で口端を上げた。

 

「どしたぁ、ちび!夜が怖くて寝付けねーのか~?」

「ムッ…ちげーよ!」

 

銀時のからかいの言葉にカチンっと頭にきた土方は声を荒げて否定するも、浮かない顔はそのままだ。

高杉は土方のその表情に見覚えがある。その理由を知っているからただ手を伸ばして土方を呼んだ。

伸ばされた手を見つめて土方も手を伸ばすと小走りに高杉に走り寄って刀を握り締めて硬くかさついた、しかし暖かい手を握り締めた。
握り締められた手を握り返して高杉は土方を片腕で抱き上げると立 ち上がる。

 

「何だ、寝るのか?」

「あァ、俺らはもう寝る。残りの酒はお前らで呑みな」

 

そう言い残して高杉は土方を抱き上げたまま銀時達に背を向けると その場を去っていく。

その背中を銀時達は見送った。


「…随分とご執心なこって」

「仕方あるまい、あれは心許されると弱い男だからな」

「アッハハハハ~、まっこと可愛い性格しとるぜよ!のぅ、金時~ !」

「金時じゃねーっつってるだろ!」

「アッハハハハ~!!」

「聞けよ!」


後ろで騒いでいる銀時達の声を聞きつつ、 高杉は土方の様子を見て自分の部屋に急ぐ。

部屋に着くと襖を閉めて既に用意されていた布団の上に土方を下ろ して高杉も腰を下ろした。
すると直ぐに土方は高杉に抱き付いて胸元に顔を埋めると小さな声 を上げた。

 

「…晋助」

「どうした」

 

高杉は柔らかな声音で問い掛けながら土方の髪紐を解いて背中に流れる髪を撫でて自らも目前の小さな体を抱き締めた。

高杉の匂いに包まれた土方は安心して体の力を抜いて体を高杉に預ける。

 

「十四郎?」

 

何も発しない土方に高杉は再度促す。
すると土方は迷った末、高杉に胸の中の不安を打ち明ける。

 

「…兄上の夢を見て、」

 

その言葉を聞いて高杉は土方が何を思って浮かない顔をしていたのか確信して、 今も自分を責めているであろう小さな体を抱き締めたまま一緒に布団の中に入る。

お互い向き合うように横になりながら高杉は土方のおでこに自身のおでこをコツンとくっ付けた。

 

「バカ、お前の為所じゃねェって何度も言っただろう?」

「………」

「ったく…お前はまだ子供だったンだ、弱くて当たり前だろ。 弱い自分が許せないなら弱い自分を越えて強くなれば良い。簡単だろ?」

「晋助…」

「お前は強くなるよ。俺が言うんだ、だから俺の可愛い十四郎の笑った顔を見せてくれ」

 

高杉が土方にしか見せない顔で言うと、 土方は目を涙で濡らしながらも小さく頷いて微笑んだ。

高杉はやっと笑顔を見せた土方にキスをすると苦しくないよう強く抱き締めて寝る体制をとって囁いた。


「…今度は俺の夢を見ろよ」

「うん…」

 

照れて頬を紅く染めさせながら土方は嬉しそうに頷いて高杉の首筋 に擦り寄った。

 

「おやすみ、晋助」

「おやすみ十四郎」

 

 

end

 

◆高杉と神威

 日が落ち始め影が伸びる夕暮れ、人気のない静かな場所で二人の男が20人以上のヤンキーに取り込まれていた。

 

高杉と神威だ。

 

ヤンキー達はその手に釘付きバット、ナイフ、棒切れにパイプ等様々な武器を手に二人を下卑た笑みを浮かべながら取り囲んでいた。

 しかし神威はそんなヤンキー達を前にしてもニッコリと微笑んでいる。

 

「シンスケに手を出す前にオレを殺ってからにしなよ♪」

 

神威が高杉の前に出て拳を構えるのに高杉がはぁ…また始まりやがった、と溜め息を吐いた。

停学が明けてからここ最近は何かと喧嘩や恨みを買われる事が多い高杉の所に神威が現れて高杉の喧嘩を神威が買う事が多くなった。

別に頼んでもいないのに何故こいつはタイミングの良いところで毎回毎回現れるのか高杉は不思議だった。

しかしチンピラの喧嘩を買った所で所詮ただの弱い雑魚だから高杉も文句を言うことなく全てを任せてただ傍らで煙草を吸って見物を決め込んでいた。

 

「なんだ、コイツら弱いじゃん」

 

20人程は居た男達が神威によってものの数分で再起不能になった。

最後に打ちのめした男の髪を持ってた手をパッと離すと男の頭はゴトッと重い音を立てて地に落ちた。

 

「ただの雑魚だ。当たり前だろ」

「シンスケに挑むくらいなんだから強い奴らだと思ったのになー残念」

「数でものをいわせようとしただけの奴らだ、一人じゃ何も出来ねー弱ェ雑兵集団だよ」

 

ふーん?じゃあシンスケはコイツらの相手一人で出来たのか、と神威が高杉を振り返ると高杉はクッ…と喉を鳴らして笑っただけだった。

 

コイツら起きないなー準備運動にもなりゃしなかった、と腰を下ろして自分で伸した男達をつまらなそうに見下ろす神威の背中に高杉が声を掛けた。

 

「オイ。髪がほどけてるぜ」

 

先程男達の中にナイフを持っていたのが数人いたが振りかざす拳を避けた時にでも髪に引っ掻けたのだろう、後ろで三つ編みに纏まってた髪がほどけて背中に流れてた。

指摘されて初めて気付いたのか神威がキョトンと幼い表情を見せた。

 

「あ。本当だ」

 

背中を振り返って神威は唇を尖らせた。折角纏まってたのに、と文句を言いながら髪を1回バサッと流して高杉の所まで歩み寄った。

そして、

 

「はい」

「…あ?」

 

背中を見せて髪止めを渡してきた。

意味が分からず高杉は顔をしかめて神威の背中を睨んだ。

 

「シンスケ、結び直してよ」

「何でオレが」

 

一人で出来るだろうにこの男は何を言っているンだか、高杉は呆れた顔で神威を見返した。しかし呆れた顔の高杉を意にも返さず神威は背中を向けたまま続けた。

 

「良いじゃん、直してよシンスケ」

 

言い出したら梃子でも動かないだろう神威に高杉は溜め息を吐いたことで了承した。

背中まで届く長い髪を手に取って高杉はするするっと迷うことなく流されたままだった髪を三つ編みに変えていく。

 

「…何甘えてンだ、てめェは」

「気の所為だよ」

「フン…兄が聞いて呆れる」

「シンスケその言い方母さんみたいだよ」

「てめェみたいな悪ガキ産んだ覚えはねェ」

「オレだってこんな目付きの悪い母さんに産まれた覚えはないよ。母さんはもっと美人だ」

 

言うじゃねーか、笑って高杉は終わったぞ、と背中にキレイに纏まった髪を前に持ってって肩に流してやり神威の背中をポンと叩いた。

高杉が直した三つ編みを見て神威は満足気に笑みを浮かべた。

 

「シンスケってホント器用だよね」

 

 

 

 

その後、あれから神威は髪がほどけると学校だろうとどこだろうと高杉の所に訪れては髪を結わい直してと現れるようになった。

面倒で高杉がそれぐらい自分で直せと言うとそれはもうしつこいくらいに付きまとって来るもんだから高杉はさっさと追い返すのに髪を結わい直してしまうのだ。

 

それが週に何回もあれば慣れてしまうもので珍しく教室に来てのんびりしてた高杉はそろばん塾の教科書に目を通してたが窓がガラッと開き、騒いでたクラスがシーンと静まり返ったから不審に思って顔を上げると3階だというのにどこから登ってきたのか神威がそこにいた。

 

「…何の用だ」

「やっほーシンスケ♪髪ほどけたから結わい直してよ」

「またか」

 

 現れた神威の髪がほどけてるのを見て想定はしてたがやっぱりそうか、と高杉はもう呆れるしかなかった。

既に諦めていた高杉は教科書を閉じると傍に神威を促す。すると心得てる神威は窓から教室に入ると高杉の横に隣の椅子を移動させて背中を向けて座った。

高杉はずっと横にいた来島また子から櫛を借りると神威の髪を傷付けぬようにすいてから櫛を置いた。髪を三つの束に分けて慣れた手付きで三つ編みにしていく。

教室にいた者達はいきなり現れた神威に驚愕してたのにその用事がただ高杉にほどけた髪を直して欲しいだけだった事にも目を見開いた。

妹である神楽はこっちに目もくれず完全スルーされた事に頭に来てるらしいがお妙になだめられていた。

  

「ほら終わったぜ」

「うん、ありがとうシンスケ」

 

今日の三つ編みの出来を確認して神威はニコリと笑うと土方バイバイ♪と土方に向かって手を振って入ってきたから窓からさっさと消えてしまった。

ホントにただ髪を結わい直して貰う為だけに遥遥と銀魂高校まで来たらしい。

高杉はいつもの事なのかもう用事は済んだとばかりに先程閉じた教科書を開いて机に脚を乗せてリラックスモードだ。

土方は高杉に近付いて声を掛けた。

 

「いつも髪を結ってあげてるのか?」

「ンな訳あるか。アイツが喧嘩で髪がほどけた時だけだ」

「にしては慣れた手付きだったな?」

 

からかってるつもりなのか笑みを浮かべてる土方に高杉は喉を鳴らして笑った。

 

「そりゃ嫉妬か?十四郎」

「な…!違ェよ!!」

「心配すンな、オレァ十四郎一筋だからよォ」

 

ニヤニヤと土方を流し目で見上げながら言うのに土方は顔を赤く染め上げた。

 

「ッ…バカ野郎…」

 

赤く染まった顔でそんな事を言われても高杉には可愛いらしいだけだった。

クラスの者には高杉と土方が付き合っている事は既に認知済みであり、二人がイチャ付き始めたと見た途端に元の騒がしさが教室に戻った。

実は前世の記憶がある3年Z組の生徒、いやこの銀魂高校に雇われてる一部の教師や生徒は皆前世の記憶があり初めの頃は高杉と土方が付き合ってると知った者は自分の耳を疑ったものだったが、二人が悪態を付きながらも二人の漂う雰囲気は落ち着いていて甘かった。

騒ぐ者が居ても猛反対する者はいなかった。

 

高杉は銀魂高校始まって以来の最恐のヤンキーだったが他のヤンキーと違って誰構わずターゲットにする訳でもない、喧嘩を売る訳でもなくただ自分のやりたい事をやってるだけの男だった。

そして非常に退屈を嫌う男でもあった。存外この男は祭りや派手な騒ぎが好きだ。

 

そしてこの見目である。男でありながら、まだ齢18才にして滲み出るフェロモンに男でも況してや女達は目を奪われる。

"歩く18禁"なんて呼ばれたりもしてるらしい高杉は周りの視線を引き寄せる綺麗な顔をしてる。

それもあってヤンキー達は高杉を気に入らずこぞって打ち倒そうと躍起になっている。

 狙われてると知っていても堂々としてる高杉だ、何人掛かってこようが余裕で叩きのめす。ポケットから手を出す事もなく脚だけで相手を伸す姿は正に魔王そのもの。

しかし最近は高杉に向かってくるヤンキーたちの相手を何処からとなく現れる神威が引き受けてる為か、高杉が手をというか脚を汚す事はなくなった。

ボディーガードのように高杉の傍を愉しそうに跳び跳ねる神威を周りからは高杉が暴れん坊の神威を手懐けたと噂されてる。

神威の耳にもその事は入ってる筈だが神威は敢えて否定はしないでいる。

 

 高杉の傍にいると面白い事が起こる、と神威は高杉の元までやってくる。

父と妹の小言が煩くて家に帰らずよく高杉の家に転がり込む程、神威は高杉を酷く気に入ってきた。

土方との仲も知っており、高杉との仲をからかって土方で遊ぶのも一つの楽しみだった。

年齢の割りに落ち着いている高杉は神威には兄のように思ってる不知があるのだ。

 

母が妹を産んで直ぐに重い病に伏せって父が病を治す為の治療法を探すのに家を空けてから兄という立場でしっかりしなくてはならなかった神威は母にも妹にも甘える事や弱音を吐く事も出来なくなった神威には高杉が唯一甘えられる事が出来る人間だった。

そして自然と高杉と付き合っている土方にも甘える事が度々出来るようになった。

 

だから神威はよく銀魂高校に遊びに来ている。放課後生徒が帰る頃に現れて帰宅する高杉と土方と一緒に帰る。そんな3人の姿を度々見掛ける事が多かった。

 

神威は高杉が気に入っている。そして、高杉が好きな土方も気に入ってる。

 

二人と一緒に居る事が神威には楽しくて気が休まった。高杉と土方はそこら辺の雑魚よりも強かったのも神威は気に入っていた。

つまらなかった世界が鮮やかな色をして輝いた。

 

神威は高杉のおかげで今が楽しく思えるようになったのだ。

 

高杉も特に神威を煩わしいとは思わなかったから好きにさせている。土方に手を出さなければ構わない。それにここまで懐かれるのは別段嫌ではない。 戦い以外に興味がなく無知な我が儘な弟を持ったと思ってる。

だから家に転がり込もうと好きにさせた。

土方との時間を奪われるのは癪だけども。

 

「十四郎、」

「ん?」

「今夜泊まりに来いよ」

 

傍らに立つ土方を見上げて高杉は笑った。

それが今夜のお誘いである事に気付かない程、土方は鈍くない。目尻を赤く染めてぶっきら棒に言った。

 

「それは別に良いけどよ、神威が来るンじゃねぇのか」

「さてねェ、来るかもしれねェが一緒に寝てる訳でもあるめェし十四郎と楽しんでいても分からねェよ」

「オレが気にするンだが…」

 

神威がいる手前でヤろうとするのは如何なものかと躊躇する土方だが否とは言わなかった。

土方だって健全な男子高生だ。溜まるもんは溜まっていて高杉と触れ合うのに断る理由は神威が隣の部屋で寝ている事だけ。しかし高杉の言う通り居るだけで声が聞こえる訳でもないのだから気にする事はないのだろう。(高杉の家の壁は全てが防音なのだ。)

 

土方は小さく頷いて了承した。高杉は土方の手に触れてそっと握ると柔らかい笑みを浮かべて優しい眼差しで土方を見つめた。

 

二人のなんとも甘い雰囲気にクラスメイトはここが教室だって事を思い出して欲しい、と思いながら好き勝手に過ごしていた。

 

 

 

END

 

◆高土

※土方さん女体化

※高杉さんが冷血ではなく優しいです。

※二人とも都合良くキャラ崩壊の少女漫画並みww

 

 

 

高杉は血に汚れた両手を拭きながら、壁に背中を預けて座り込む女子生徒を振り返る。


女子生徒…土方十四乃を襲われていた所をひょんなことから高杉が助けたのである。

 

「………。」


高杉は怯えながら虚ろな目で自分を見上げる土方を見下ろした。


高杉は学校に登校はするが教室には余り行かないので良くは知らないが高杉が知ってる土方は女でありながら男のような言動と手足の早さ、スパルタな厳しさで周りからは‘鬼の副長‘と恐れられており、自分よりも大きい大の男にも怯む事無く、逆に血祭りにして制裁を降すような女だ。


だが、今目の前にいる土方は大の男を倒すことは出来ないと断言出来る程、弱々しい姿だ。

 


…面倒くせェ……。


高杉は隠すことなく舌打ちすると、土方に近付き学ランを脱いで目線を合わせるようにしゃがんで土方に学ランを被せた。

それだけでびくっと怯えて震える土方は高杉をじっと揺れる瞳で見つめると震える声で紡いだ。


「……た…高、杉…?」
「……。」


高杉は何も言わず、無言で手を伸ばした。

またもやびくっと怯える土方だが伸ばされた高杉の手が寸の所で止まり、何か待っているように伸ばされたままでいるのを困惑した表情で首を傾げた。


分からないと首を傾げる土方に高杉は淡々と告げる。


「…その格好のままじゃ、いやだろ。助けたのは俺だし最後まで面倒みてやる…触れられるのはいやだろうが掴め。保健室まで連れてってやる」


そう言われて土方は改めて自分の姿格好を見下ろした。
制服とスカートが見るも無残に引き裂かれ、下着も切られて肌のあちこちに吸われたであろう鬱血が散らばっていた。

土方は先程の出来事を思い出して顔を青ざめると無意識に学ランをぎゅっと引き寄せて肩を震わせた。


「……ほら、」


自分から無理に触れることをせず、土方自身から来るのを短気であった高杉は辛抱強く待った。
土方もそこら辺に転がる男達がいつ起きるのか分からない為、早くこの場所から去りたい一心で高杉に腕を伸ばして首に腕を回して縋った。

 

だが、土方の心配を余所に男達が目を覚めすこと等ない、全ての機能をしばらく動かなくしてやったからだ。
回された腕がしっかりと掴まっていることを確認して高杉は土方の背中に右手を添えて左手を膝裏に差し入れて持ち上げた。
いうなれば、‘お姫様抱っこ’だ。


土方は何も言わず、ただ必死にしがみ付いて高杉の肩に額を押し付けて視界を遮断した。腕の力が強く、息苦しいと思うものの高杉は何も言わず無言で真っ直ぐ保健室へと向けて歩いた。

 

 

 


保健室に着くとノックもせずドアを開けて高杉は遠慮なく入る。


いつもなことながら保健医は居らず、居ないことを良いことに窓際に近いベットのカーテンを引いて土方をゆっくりベットに下した。下ろしてもいつまでも腕を離さないから高杉が土方の背中を軽く叩いて大丈夫だということを伝えると土方は渋々腕を解いた。


「これでもう平気だろ。じゃな」

 

面倒事は避けたい。

 

背を向けてドアの方に向かって踵を返す所でワインレッドシャツをガシッと力強く掴まれた。そのことに高杉はやっぱりか…と進むことを諦めて、ため息を吐きそうになったがなんとか堪えて肩越しに土方を見下ろして口を開いた。


「……誰か呼ぶか?」
「ぃ、やっ……!」


今の姿を見せたくないのに、人を呼ぶことなんて出来ないだろうに…無神経だったな。
高杉は折れんばかりに首を左右に振る土方に今度は隠すことなくため息を吐いた。

ここは俺ではなく誰か親しい女の友達を呼んだ方が良いんじゃないのか?男の俺を引き留めたって俺に何が出来る…。


「…ならどうしろと?」


見下ろして聞くと、土方は瞳を涙で潤ませて高杉を見上げ必死に引き留めようとシャツをクイッと引っ張る。


「…傍にいてっ…!!」
「………。」


土方の震えながらも決して離すまいとシャツを握る手を見て、高杉は肩を竦めて仕方なく土方の隣に腰を下す。

すると土方は高杉のシャツから手を離して未だ恐怖で震える腕で高杉の体に腕を回したと思ったら肩に頭を預けて目を閉じた。

その行動に多少驚きながら、やはり高杉は何も言わずに好きなようにさせた。

 

 

しかし、かれこれ2時間が経つと高杉は土方の背中を驚かさないように、怯えぬようにゆっくり摩りながら声を掛けた。


「…土方」


高杉の声にピクリと微かに身を動かして、土方は顔を上げて高杉を見つめた。

その顔はまだ怯えている様子だったが気分は少し落ち着いているようで高杉は続けた。


「このまま授業受けるのは辛いだろ?その制服はもうダメだろうし学ランそのまま貸してやる、帰れるか?」


高杉の問いに土方は弱々しくも頷き、ベットから降りた。続いて高杉も立ち上がると土方に学ランを腕に通らせてからキッチリとボタンを留める。

土方と、ついでにこのままサボるから自分のカバンを持って来るために保健室を出で行くと土方も高杉の後を着いて行く。


「お前も来るのか?」


歩きながら問い掛けると土方は無言で頷くが、その表情は一人になりたくないと物語っていて高杉は何も言わずゆっくり歩調を合わせて進んだ。

 

3年の廊下を渡って教室にたどり着くと覇気のなくダルそうな声音で教科書を読み上げる銀八の声がしんとした教室に響いていた。
その静寂をガラッとドアを開くことで破り、高杉は教室に入る。

土方は廊下で待つことにしたのか、教室に顔も出さなければ入って来ない。

 

静寂を破った高杉に銀八と教室中の視線が集まるが高杉は気にも留めず自分のカバンを持ってからスタスタ土方の席に向い机の中にある物全部カバンに無造作に入れてチャックを閉めると用はないと教室を出ようとしたが、出ようとした所で引き止められた。


「高杉―、来て早々堂々とサボりか。後、そのカバン大串くんの物でお前のじゃねーよ?それも堂々と盗むのか、お前は大串くんが好きだったんだな。だが残念なことながら大串くんはお前に脈などないぞ、潔く諦めろ。というか、学ランは?」


長々と思いっ切り誤解をして声を掛けてきたのは銀八だった。

高杉は掛けられた言葉に否定も固定もせずに、ゆっくり振り返って銀八の方を向いた。

 

 

「………悪ィか?」
「いや、別に悪かないけど…いや、悪いっちゃ悪いけどな!てか何に対しての悪いか?!」
「何で高杉が土方さんのカバン持ち帰ろうとしてんでさァ」


目を窄めて高杉に言ったのは可愛い面して悪魔もビビる腹黒い沖田総悟だ。

周りも疑問に思っていたので高杉に視線が集中して高杉は気分悪く舌打ちする。


「土方は早退だ」
「大串くんどっか悪いの?」
「…そんな感じだ」
「トシは大丈夫なのか?」
「……大丈夫だろ」
「なら何で高杉が土方さんのカバンを持ってくんでぃ」


周りからの質問攻めに高杉は埒が明かないといい加減イラついていたら、高杉の惨状を廊下で聞いていた土方がドアから顔だけを覗かせた。

それに気付いて高杉が振り返ると銀八達も気付いたのか近藤が席を立って駆け寄ろうとした。


「トシ!具合は大丈夫なのか?」
「土方さん!」


近藤に続いて沖田と山崎もすかさず席を立つが、土方はその前に顔を引っ込めてしまった。

近藤は土方が何故隠れるのか何が何なのか分からず困惑しながらどうしたもんかと沖田達に目を配っている。

高杉は動揺している近藤達に目もくれず廊下にいるであろう土方の様子を見る為、教室から出ずに上半身だけ出して横下を向くと腕が伸びてきてガシッといきなりシャツを掴まれて驚いたが、掴んだ本人の肩が大きく震えていた。


「…や、やっぱり無理っ…!帰れない…っ!」
「………、」


小さく、声が震えていたので余り聞こえなかったが高杉にはハッキリと聞き取れた。

どうやら、襲われたことによって親しかった近藤達でも恐ろしいらしい。


完全に男子恐怖症だな…と冷静に判断した高杉は土方のシャツを掴む手を離させてその手を握り締めると土方の震えが少し治まった気がした。


「どうしたんだ、トシ?」


近藤は戸惑いながらも土方に声を掛けるが、声を掛けられた土方がびくりっと肩を震わせて高杉は完全に教室を出ると土方に教室を覗かせない様に自分の方に抱き寄せて銀八と近藤達を振り返った。


「…明日話してやるよ。…行くぞ土方」


去っていく高杉と土方に近藤達は声を掛けることも出来なくてただ見送った。


昇降口で互いの上履きを靴に履き変えて、高杉は土方を振り返ると問う。


「家はどこだ?」
「……、」
「土方」
「………帰りたくない」
「そうはいかねェだろ。家族は?」
「…海外、」
「…一人暮らしか」


高杉はクラスの女子の誰かに泊めてもらうか、と考えたが男子恐怖症だから無理だと思い至った。

志村妙は眼鏡の弟がいるし、猿飛はなんかヤバそうで返って酷くなりそうだ色々と…。柳生九兵衛の家はほぼ男ばかりで泊めてもらうこと等出来ないだろうな…。
どうしょうかと考えていた高杉はふと、というかそもそも女子は大丈夫なのか?と思った。

 

「………。」


結論が出なかった高杉は、土方を誰かの所に泊まらせる事を止めて結局自分の自宅に泊まらせることに決めた。

何故か知らないが土方は高杉のことだけは怖くないらしいし、今のとこ自分がやるしかない。
助けた以上、最後まで面倒見ると言ったのは高杉だから責任は持つ。

 

「…帰りたくないンなら、俺の所に来るか?」

 

 

 

復活祭も後残り僅かで…!!

 

こんにちはです!

久しぶりにブログ更新しました…やっぱり定期的に続かない美琴は駄目な人間です。間違えました、ただの雑草でした✨

 

それはそうと1月もあっという間に終わりますね…!!(><)

先日は京都へ行き、天野明展に言って参ったばかりなのに早くもまた行きたい衝動にかけられてます…!!
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↑(ぺたっとザンスクを入れて加工した天野展会場です♥ついでに言いますとスクは22日の私の格好でボスが23日の格好です!)

 

沢山のグッズを大体買えましたし、スマホなのにiPhoneケースを買ってしまいましたw

カフェはツナさんのが食べたかったのですが並んでる間に売切となってしまって泣く泣く雲雀さんの抹茶わらび餅と骸サマとクロームの霧ソーダを頼みました!

雪も降って寒いのに二人して冷たい飲み物ばかりww
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↑(私は無事ヴァリアーコースターをGET✨そるさんは交換して下さる方が居たので二人してヴァリアーコースターGET👍♥)

 

原画の方も人が少なくなってきた頃合いを見計らって入りましたけど、中野とは比べ物にならないくらい原画が数多く展示されており、そしてボスカスやヴァリアーがいっぱいで感激の余り美琴号泣…ッ😭😭😭💦

 

まさか人前でしかもあんなに人の多い所で泣くとは自分でも思わなかったのですけどボスカス尊いよ…可愛かったしまさか連載終わってからも天野先生のボスカス描き下ろしを見られるとは思わなかったしまさかWe Are ヴァリアー編を生原画で拝めるとは思わなかったから号泣しますよ…スクの原画を舐めるように見つつ連写し、アップのボスに腰を抜かしそうな程見惚れました…天野展最高です!!!( ;∀;)🙏💕💕

 

二日間行きましたけど、飽きませんね(真顔)

期間限定で京都に移り住みたいくらいに天野展毎日でも通いたいです~!!何で私は関東民なの?!!でもイベントは関東に多いからどうとも言えないのがツラい!!

ともかくまぁ、…天野展は最高だったから2月も行く事にしました✌✨

23日はNoireさんや憧れてたショコラさん、何かと良くして頂いてるみかんさんにも会えたのでやっぱり天野展は最高としか言えないです。

 

みかんさんの山本のバットに対しての一言は絶対に忘れませんよ…♥

 

ザンスクについて語ってからお互いに用事や帰宅時間もあったので各々その場で別れてそるさんとまたもじっくり原画を見て京都に戻り、そるさんは新幹線で私は夜行バスでまた帰宅です!

 

凄く楽しい二日間でした…♥

 

ザンスクは描けなかったけど素晴らしい先生の原画を見て描ける訳もなかったから良いや✨

 

予定より帰宅時間が遅くなってしまったが無事に家に帰れたから良かったです!!

帰ったら家の事を一通りやってから休みました。

原稿はまだやれてないし早くなんとかしたいのだけど、筆が進まん~…!!

こんなんで大丈夫なのか?!って自分自身で心配だけど美琴は頑張ります…!(><)💦

 

にょた本をなんとしてでも布教じゃ~!!!

 

 

2017.1.27  美琴